2009 Fiscal Year Annual Research Report
経済評価研究に基づく新たな臨床ガイドラインの推奨基準設定に関する研究
Project/Area Number |
20590531
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
濱島 ちさと National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 検診研究部, 室長 (30286447)
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Keywords | 臨床ガイドライン / 経済評価 / 推奨基準 / 科学的根拠 / 医療資源配分 |
Research Abstract |
1)経済評価が推奨に用いられている診療ガイドライン(英国NICE)や新薬医承認における利用について検討した(ドイツ)。経済評価を推奨の判断基準とする場合は、診療行為そのものへの影響も大きく、標準化を進めやすいという利点がある。経済評価を判断基準としない場合、医療技術の有効性の評価は必ずしも一律ではないことから、医療の標準化の推進が困難な場合もある。有効性評価ばかりではなく、経済評価についても必ずしも一元的な基準では運用が困難なことから、各国の事情に応じた導入基準の見直しが行われている。以下に英国、ドイツにおける特徴をまとめた。 2)英国NICEは1999年にブレア政権により設立され、診療・公衆衛生ガイドラインを作成するとともに、新規の医療技術の評価も行っている。NICEガイドラインは有効性だけではなく、経済評価も推奨基準としている。NICEは増分費用効果比20000~30000ポンド/QALYを基準としているが、近年その評価方法について以下の再検討が行われた。(1)延命効果のある薬剤に対する閾値緩和策であり、延命効果が確認された薬剤に適用される。(2)価格制度の改訂が行われ、新薬の利用促進、患者アクセスの保障・改善が行われた。(3)イノベーション・パスの導入により、対象患者が少ない革新的な医薬品に対し、NICEの審査を経ずにNHSの支払いを2年間保証する制度が確立した。(3)の制度については当初3年間という限定で導入されており、また今後の方針については政権交代に伴う不確定の要素を残している。 3)ドイツでは、2007年にInstitute for Quality and Efficacy in Health Careが設立され、新薬に関する最大償還価格を設定するため検討が行われている。増分効果比の基準が設定されず、効率性を重視した評価(効率的フロンティア)、疾患による評価指標の設定が異なるのが特徴である。
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Research Products
(21 results)