2010 Fiscal Year Annual Research Report
経済評価研究に基づく新たな臨床ガイドラインの推奨基準設定に関する研究
Project/Area Number |
20590531
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
濱島 ちさと 独立行政法人国立がん研究センター, がん予防・検診研究センター, 室長 (30286447)
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Keywords | 臨床ガイドライン / 経済評価 / 推奨基準 / 科学的根拠 / 医療資源配分 |
Research Abstract |
1)我が国における臨床ガイドラインにおいて経済性を考慮した新たな臨床ガイドライン作成の可能性を以下の手順で検討した。 (1)諸外国のガイドラインに関する情報収集(平成20年・21年度) (2)経済評価研究の批判的吟味(肝炎検診・肝炎治療を例に平成22年度検討) (3)ガイドラインにおける経済評価研究の利用に関する検討 2)肝炎検診・肝炎治療に関する経済評価研究 PubMedを用いて系統的検索を行い、経済的評価について、C型肝炎スクリーニング8編、B型肝炎スクリーニング2編、肝硬変患者を対象とした原発性肝細胞がんスクリーニング2編、HCV関連の治療25編、HBV関連の治療8編、HBVまたはHCV関連の治療2編を抽出し、経済評価の問題点を検討した。 我が国の経済評価研究について、以下の問題点が明らかとなった。完全な経済的分析でないものが多い。分析に用いるデータが限定的で情報量が少ないこと、特に我が国のデータが限定的であり、諸外国データを用いることが多かった。経済評価はモデル解析がベースとなるが、モデル作成に検診や治療の不利益が考慮されてないなどの問題点があった。 3)諸外国のガイドライン作成や新薬承認過程における経済評価研究の利用に関する情報を収集し、さらに我が国における経済評価研究の事例を検討した。その結果、我が国の経済評価研究の結果をそのまま臨床ガイドラインの推奨決定に用いることは困難であることが明らかとなった。経済評価の質向上への改善をはかるだけではなく、我が国における経済評価利用法についての再検討が必要である。我が国においてガイドラインと平行し経済評価研究を行うには、疫学データと共に費用データの集積が必要である。今後はガイドライン作成以外の新薬承認プロセスなどの情報も参考に、我が国の臨床ガイドラインにおける経済評価研究の利用に関する検討を続ける。
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Research Products
(11 results)