2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮機能を指標とした抗動脈硬化薬の薬効評価システムの開発
Project/Area Number |
20590542
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山川 研 University of the Ryukyus, 医学研究科, 助教 (00363664)
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Keywords | 血管内皮機能 / 動脈硬化 / 薬効評価 / インスリン抵抗性 / 代替エンドポイント |
Research Abstract |
1.インスリン抵抗性状態では血管内皮機能が障害されており、血管内皮能を改善させる薬剤はインスリン感受性も改善させる可能性がある。我々は遊離脂肪酸負荷による血管内皮機能障害モデルを用いているが、同モデルで血管内皮機能を改善させる薬剤がインスリン感受性に与える影響を評価するためにヒトインスリン抵抗性実験系を立ち上げ、薬効評価を行った。健常人に脂肪製剤とヘパリンを静注することにより、約40%M値(単位時間あたりのグルコース投与量でインスリン感受性の指標)が低下した。この系においてアンジオテンンンII受容体拮抗薬(ARB)のインスリン感受性に及ぼす影響を二重盲検交差法で検討した。ARBは用量依存性にインスリン感受性を改善した。この結果は遊離脂肪酸によるインスリン抵抗性にレニンーアンギオテンシン系が関与していること、血管内皮機能を改善させる薬剤の作用機序にインスリン感受性の改善が関与している可能性を示した。 2.動脈硬化病変における白血球系の関与を検討するため、遊離脂肪酸負荷によるメタボリックシンドロームを想定したヒト白血球活性化実験系をたちあげ、薬効評価を行った。健常人に脂肪製剤とヘパリンを静注することにより、白血球の接着充進、血中ミエロペルオキシダーゼの上昇を認め、ARBではこれらの反応が抑制されたが、ACE阻害薬では部分的な抑制にとどまった。この結果は遊離脂肪酸による白血球活性化にレニンーアンギオテンシン系が関与していること、血管内皮機能を改善させる薬剤の作用機序に白血球の活性化抑制が関与している可能性を示した。 3.ヒトにおける脂肪酸負荷モデルで観察された血管内皮機能障害やインスリン抵抗性および白血球活性化の機序を解明するために、実験的脂肪酸負荷モデルを開発した。培養細胞系にも投与可能な脂肪酸溶液の作成法を確立した。これによって血管内皮細胞、骨格筋細胞および白血球などの培養細胞を用いた様々な検討が可能となった。
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