2010 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛による虚血性神経細胞障害の増悪機序の解明と新規治療薬の開発
Project/Area Number |
20590543
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
原 宏和 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (30305495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 哲夫 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40137063)
神谷 哲郎 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (60453057)
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Keywords | 脳神経疾患 / 薬学 |
Research Abstract |
近年、必須微量元素である亜鉛が脳虚血により惹起される神経細胞障害に関与していることが報告されており、虚血性脳血管障害の発症・進展における亜鉛の役割が注目されている。申請者は、亜鉛を神経細胞に曝露することにより、アポトーシス促進因子のBH3-onlyタンパク質のPUMAの発現が亢進することを明らかにしている。本年度は、BH3-onlyタンパク質に属するBimの発現に対する亜鉛の影響を検討した。Bimには、主要な3種類のスプライスバリアント(BimEL、 BimL、 BimS)が存在していることが報告されている。通常、3種類のバリアントのうちBimEL mRNAが最も多く存在していが、申請者は、亜鉛暴露によりBimELが減少し、BimSが増加する選択的スプライシングのパターン変化が生じることを明らかにした。この現象は、亜鉛以外の2価の金属(Cd, Mn, Cu)には認めらなかった。また、酸化ストレス、小胞体ストレス、抗がん剤などによってもBimのスプライシングパターンに変化は認められなかった。これらの結果から、BimSのスプライシングパターンの変化は、亜鉛に特異的な現象であること考えられた。BimSはアポトーシス活性がBimのバリアントの中で最も強いことから、亜鉛によるアポトーシスの亢進にBimのスプライスングパターンの変化が関与している可能性が示唆される。また、Bimのミニ遺伝子を作製し、この遺伝子が亜鉛によるスプライシングパターン変化を再現することを確認した。それゆえ、Bimミニ遺伝子は亜鉛によるBimのスプライシングパターン変化の分子機構を解明するための強力なツールになると考えられた。
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Research Products
(8 results)