2010 Fiscal Year Annual Research Report
原発性胆汁性肝硬変の発症や病態の分子機構の解明と重症度予測遺伝子診断法の開発
Project/Area Number |
20590545
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
大曲 勝久 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (90244045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚元 和弘 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30253305)
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Keywords | 原発性胆汁性肝硬変 / トランスポーター / 胆汁酸のホメオスターシス / インテグリン / 一塩基多型(SNPs) / 重症化感受性遺伝子 / 相関解析 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
原発性胆汁性肝硬変(PBC)患者300名を対象にし,患者を重症度から3つの病期に分類し,病態の進行に関連する重症化関連遺伝子の同定を試みた。候補遺伝子として胆汁酸の合成や排泄等の胆汁酸のホメオスターシスに関わるOSTα・OSTβ・MRP3・BAAT・PXR・SHP・PGC-1α・KLBの遺伝子と肝線維化や胆管形成に関わるITGAVの遺伝子多型を解析し,重症度別に分けた患者群間で多型の出現頻度の有意差検定を行った。 ITGAV遺伝子内の8つのtag single nucleotide polymorphisms (tag SNPs)を多型解析した結果,rs1448427のA/GおよびG/G遺伝子型の出現頻度は,最も重症であり肝移植の適応となる黄疸群で有意に高くなっていた(P=0.031, odds ratio=2.87)。さらに,黄疸群の代わりに35名の肝移植群を用いた解析においても,上記の遺伝子型は肝移植群で有意に高くなっていた(P=0.033, odds ratio=2.13)。これらの結果から,ITGAVが黄疸型進行に特異的な重症化感受性遺伝子の一つであることが示唆された。ITGAVとPBCの黄疸型重症化との関連を初めて明らかにした。今後,黄疸型重症化の病態解明につながると考えられる。 また,胆汁酸合成に関わるPPARGC1Aも重症化感受性遺伝子であった。昨年度までの結果と総合して,胆汁酸ホメオスターシスに関わる複数の遺伝子からなるバリエーションがPBC進行の個人差を規定する因子の一つであることが示唆された。これらの遺伝子産物や多型はPBCにおける個別化医療のターゲットとして創薬や遺伝子診断への応用が期待される。
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