2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態・遺伝子多型を指標とした抗がん剤投与量の新しい調節法の開発
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20590546
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
長島 文夫 埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (70348209)
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Keywords | イリノテカン / UGT1A1 / 薬物動態 / 遺伝子多型 / 個別化医療 / ゲノム薬理学 / 大腸癌 / 副作用 |
Research Abstract |
1. 「進行大腸癌におけるFOLFIRI併用療法の第I/II相臨床試験」の最終結果を報告した。UGT1A1遺伝子多型野生型では、日本人においてもイリノテカン180mg/m^2隔週投与の安全性が確認できた。本邦でのイリノテカンの承認用量は150mg/m^2隔週投与であり、海外と同様の用量設定が可能であることが示唆された。このことは国際共同の臨床開発試験を展開するために重要な成果と考える。 2. 大腸癌患者において初回治療としてFOLFIRI法を施行した42例でUGT1A1遺伝子多型別の治療効果を後ろ向きに検討した。UGT1A1*1/*6*および*1/*28を持つ患者とUGT1A1*1/*1を持つ患者間で、効果や毒性の点で有意な差は認められなかった。後ろ向きの検討ではあるがUGT1A1*1*1/*6*および*1/*28を持つ患者でもUGT*1/*1の患者と同様な用量で治療が可能であることを示唆する結果であった。 3. 平成20年以降、大腸癌薬物療法は大きく進歩した。現在、初回治療としてオキサリプラチンを用いた治療が広く行われており、特にUGT1A1遺伝子多型でハイリスクと考えられるホモ型ではイリノテカンを用いずにオキサリプラチンを投与する可能性が高い。ホモ型では2次治療で抗EGFR抗体薬を用い(KRAS遺伝子野生型の場合)、イリノテカン投与の機会は相対的に減っている。一方でオキサリプラチンによる末梢神経障害が大きな問題となっている。大腸癌薬物療法における効果的な治療スケジュール設計には、もはやUGT1A1遺伝子多型のみの評価だけでは不十分と判断し、オキサリプラチンのバイオマーカー評価も重要と考え、オキサリプラチンの効果.副作用を予測しうる遺伝子多型および神経軸索機能評価の検討を開始した。今後は、今までに得られたUGT1A1遺伝子多型の情報と統合し、新規治療法を開発していく予定である。
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Research Products
(5 results)