2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子情報を利用したワルファリンによる抗凝固治療の個別化
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20590548
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高橋 晴美 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20211344)
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Keywords | ワルファリン / 抗凝固効果 / 投与前凝固活性 / 個体差 / VKORC1*2 / CYP4F2*3 |
Research Abstract |
【目的】ワルファリン(WF)治療における抗凝固効果(INR)のコントロールに及ぼす投与前凝固活性(NPTo)の個体差の変動要因とその臨床的意義を明確にすることを目的として検討した。 【方法】WFを外来導入した中国人患者181名を対象とし、WF投与前と投与後3ヶ月間に最低5回NPTとINRを測定した。NPTの測定はCarinactivase-1法により、VKORC1*2とCYP4F2*3遺伝子変異はPCR-ダイレクトシークエンス法に解析した。 【結果・考察】(1)NPToの変動要因と:NPToを従属変数とし、患者背景因子を独立変数として重回帰分析を母集団解析法(NONMEM)により行った。NPToに対して年齢と肝疾患が有意な変動要因であり、肝機能低下による凝固因子生成能が低下すると考えられた。一方、VKORC1*2変異やCYP4F2*3変異はNPT0に対して有意な影響を及ぼしていなかった。 (2)INRのコントロールに及ぼすNPToの影響:INRが治療域(2~3)にコントロールされるNPT濃度(治療域NPT)とNPTOの関係について検討した結果、NPTの低下幅はNPTOに依存していたが、低下率はNPTOによらず約70%とほぼ一定であった。INR>4の患者ではNPTはNPTOの15~25%まで低下していた。 (3)NPT-INR関係のモデル解析とシミュレーション:WF投与後のINRはNPT低下率(1-NPT/NPTo)に伴い非線形的に上昇すると仮定したモデル式により得られた母集団解析法値を用いてNPT-INRの関係についてsimulationの結果、低NPTO群ではNPT濃度の低下によりINRが治療域外へ上昇しやすい傾向が示した。以上よりNPT-INRの個体間変動にNPTOが関与している可能性が示唆された。
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