2008 Fiscal Year Annual Research Report
本邦における悪性リンパ腫の臨床および病理学的特徴-Miyagi Study
Project/Area Number |
20590555
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
一迫 玲 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (30184625)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 疫学 / 宮城県 |
Research Abstract |
造血器腫瘍である悪性リンパ腫は、その疾病分類の著しい変遷、多様性のため、記述疫学的情報が最も欠けている悪性疾患の一つである。本研究は、宮城県において悪性リンパ腫と診断された症例について病型別頻度や、各病型の免疫学的表現型や染色体・遺伝子異常の特徴などを明らかにする疫学的調査である。本年度は、宮城県内で2003年〜2007年までにREAD system(悪性リンパ腫の総合的診断システム)により悪性リンパ腫と診断された症例を集積し、男女別、年齢別、病型別、発生部位別の頻度等を解析した。その結果、2003年〜2007年の宮城県内の初発悪性リンパ腫症例は計1083人(男 : 567人、女 : 516人)、平均年齢は62.9才(男 : 62.1才、女 : 63.9才)であった。B細胞性腫瘍は807人、T/NK細胞性腫瘍は209人、ホジキンリンパ腫53人、composite lymphoma 1人、分類不能例13人であった。病例は多い順にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫396人、濾胞性リンパ腫199人であった。宮城県はほかの大都市圏と比較し人口の流動が少なく、またHTLV-1の非流行地域であり、ここで行われた悪性リンパ腫の疫学統計結果は、HTLV-1流行地域を除いた日本全体の統計結果に近似すると推察される。罹患率が15人/10万人と仮定すると捕捉率は約10%であり、その上昇が今後の課題である。捕捉率の向上のため、現在、消化管、皮膚リンパ腫症例の集積を開始している。
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