2009 Fiscal Year Annual Research Report
本邦における悪性リンパ腫の臨床および病理学的特徴―Miyagi Study
Project/Area Number |
20590555
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
一迫 玲 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (30184625)
|
Keywords | 悪性リパ腫 / 疫学 / 宮城県 |
Research Abstract |
造血器腫瘍である悪性リンパ腫は、その疾病分類の著しい変遷・多様性のため、記述疫学的情報が最も欠けている悪性疾患の一つである。本研究は、宮城県において悪性リンパ腫と診断された症例について病型別頻度や、各病型の免疫学的表現型や染色体・遺伝子異常の特徴などを明らかにする疫学的調査である。昨年度までに集積した悪性リンパ腫をもとに、(1)濾胞性リンパ腫におけるt(14;18)/BCL2遺伝子再構成の陽性群と陰性群の細胞生物学的特徴を比較検討した。濾胞性リンパ腫295症例のt(14;18)/BCL2遺伝子再構成の検出頻度は、G分染法58.1%、未固定切片FISH法72.5%、パラフィン切片FISH法87.5%、PCR法72.3%であった。陰性群でCD10、BCL2陽性率が有意に低く、Ki67ラベル率が30%超える割合や組織学的にgrade3の割合が有意に高かった。陽性群の51.6%でBACH2発現が認められたが、陰性群は28.6%であった。従って、t(14;18)/BCL2遺伝子再構成の有無により異なる生物学的特徴を有すると推察され、臨床的にも異なる疾患群であるかの検討を開始している。(2)びまん性B細胞リンパ腫の約10%にCD5発現が認められ、臨床的に予後不良因子として重要である。本調査では、免疫染色に加えフローサイトメトリー解析を併用することで、CD5発現が21.6%(64/296)の症例に認められた。これは免疫染色ではCD5陰性だが、フローサイトメトリー解析で陽性が認められた9.6%を含んでおり、臨床的に従来のCD5陽性群と同等であるかの検討を開始している。
|
Research Products
(13 results)