2009 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞の病態におけるNotchの役割の解明とその阻害薬の感受性検査法の開発
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20590557
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 Tokyo Medical and Dental University, 医歯学総合研究科, 准教授 (80251510)
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Keywords | 白血病 / Notch / 分子標的治療 / ガンマセクレターゼ / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
白血病に対する効果的な治療には、白血病幹細胞の病態の理解が必要である。Notchシグナルは白血病幹細胞の自己複製の制御に重要であるため、このシグナルの研究に取り組んでいる。我々は、白血病細胞に対し、Notchリガンド蛋白による刺激後の、Notch蛋白の活性化の経時的な変化や、さまざまな遺伝子のmRNA発現の定量的な変化を解析して、Notch活性化が増殖、細胞周期、stemnessに関わる遺伝子の発現に影響を与えることを報告した。さらに、Notchリガンド刺激によるNotch活性化は、一部の白血病細胞において、NF-κBシグナルの構成分子の遺伝子発現を亢進させ、NF-κBシグナルを活性化させることを報告した。このようにNotchシグナルは白血病細胞の増殖に関与しているため、このシグナルの阻害が、新たな分子標的治療となりうる。我々は、Notch蛋白の活性化を阻害するガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)が、T細胞性白血病、骨髄性白血病、B細胞性リンパ腫の細胞増殖を抑制することを明らかにした。これらは、in vitroでのWST-1アッセイにより、その感受性を検査することができる。この過程において、一部の白血病細胞ではGSI投与によって、増殖がむしろ促進することがあることを見出し、その機序として、これらの細胞では、GSI投与によりNF-κB関連遺伝子の発現が亢進することを見出した。Notchシグナルのほか、HedgehogシグナルやWntシグナルも幹細胞の自己複製制御に関与することが知られている。我々は、Hedgehogシグナルの阻害剤であるシクロパミンやWntシグナルの阻害剤であるケルセチンが、白血病細胞の増殖を抑制することを見出して報告した。GSIとこれらの薬剤との組み合わせによる効果を現在検討中である。
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Research Products
(5 results)