2010 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞の病態におけるNotchの役割の解明とその阻害薬の感受性検査法の開発
Project/Area Number |
20590557
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東田 修二 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (80251510)
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Keywords | 白血病 / Notch / 分子標的治療 / ガンマセクレターゼ / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
白血病に対する効果的な治療には、白血病幹細胞の病態の理解が必要である。Notchシグナルは白血病幹細胞の自己複製の制御に重要であるため、このシグナルの研究に取り組んだ。Notch蛋白の活性化を阻害するガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)が、T細胞性白血病、骨髄性白血病、B細胞性リンパ腫の細胞増殖やコロニー形成能を抑制することをこれまで明らかにした。今年度は、一部の白血病細胞ではGSI投与によって、増殖がむしろ促進することがあることを見いだし、その分子機序として、これらの細胞ではGSI投与によりNF-κB関連遺伝子の発現が亢進することを報告した。このようにNotchシグナルの作用は多様であるため、臨床応用する場合には事前の薬剤感受性試験が必要であると考えられた。さらに、赤白血病細胞株にGSIを投与すると白血病細胞が赤芽球様に分化することを見いだした。GSIは赤白血病の分化誘導療法薬として利用できる可能性を示した。また、白血病幹細胞はNotchシグナルのほか、HedgehogシグナルやWntシグナルによっても制御されている。我々はこの3シグナルの阻害剤を組み合わせて白血病細胞に投与することにより、より有効に細胞増殖を抑制できることがあることを見いだした。これらの知見より、白血病幹細胞の病態にNotchが関与していることを示し、そのシグナル阻害剤が増殖抑制に有効であることを見いだし、さらにはその効果を予測する検査法の基礎を開発することができた。
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