2008 Fiscal Year Annual Research Report
リゾ燐脂質代謝酵素の腫瘍性疾患における発現異常とその病態への関与の解析
Project/Area Number |
20590566
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村手 隆 Nagoya University, 医学部, 教授 (30239537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
高木 明 名古屋大学, 医学部, 助教 (30135371)
鈴木 元 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80236017)
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Keywords | スフィンゴシンキナーゼ1 / mRNA寿命の延長 / v-SRCガン遺伝子 / 3'-UTR / AUF1 / HuR / タンパク質リン酸化 / PKC alpha |
Research Abstract |
近年、スフィンゴ脂質代謝酵素発現レベルが細胞に重要な役割を果たすことが認識されてきた。特にスフィンゴシンキナーゼ1(SPHK1)は細胞増殖、生存を刺激することが証明され、さらに各種腫瘍化においてその高発現とその意義が注目されている。我々は今回提案した研究課題のうち、ガン遺伝子によるSPHK1 mRNAの発現上昇機序を、NIH3T3細胞において検証し論文化した。v-SRCならびにmockの発現ベクターを安定導入したNIH3T3細胞亜株を樹立し、Western blottingにてv-Src発現量を確認した。V-Src-NIHはSPHK1のmRNA及び酵素活性が高度に増加していた。その増殖はmock-NIHよりも速やかであったが、SPHK1のsiRNAを導入するとその増殖が抑制され、細胞増殖能へのSPHK1の関与が明らかとなった。SPHK1過剰発現にいたる刺激伝達系にはPKC alpha,JAK/STAT経路が関与していることが阻害剤を用いた実験から明らかとなった。SPHK1 mRNAのv-Srcによる増加は転写の増加によるものでなく、mRNA寿命の延長によるものであった。解析によりSPHK1 mRNAの3'untranslated region(UTR)の関与を証明した。一般にmRNAの寿命は複数のAU-rich region binding proteins (AUBP)によって決定されるが、我々はAUF1とHuRの2つの代表的なタンパクに注目して解析をおこなった。総タンパク量およびリン酸化したタンパク量の測定、両蛋白遺伝子の強制発現およびsiRNAによる抑制実験から、この寿命延長はv-SrcによるAUF1の減少とHuRのPKCによるセリンリン酸化によることが示され、さらにRNA-EMSAによりそれらの蛋白のSPHK1 mRNA 3'-UTRへの結合部位を決定した。
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