2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗リン脂質抗体による血栓形成および細胞傷害機序の解明
Project/Area Number |
20590568
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野島 順三 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 教授 (30448071)
|
Keywords | 抗リン脂質抗体症候群 / 全身性エリテマトーデス / 動脈硬化症 / 血栓症 / 組織因子 / 血小板 / 単球 |
Research Abstract |
抗リン脂質抗体症候群に認められる多彩な血栓塞栓性病態の中でも脳血管障害と虚血性心疾患は死因の上位を占める重篤な合併症であり、その発症機序の解明と早期診断につながる病態マーカー検査法の確立は極めて重要である。 申請者は、抗リン脂質抗体症候群の基礎疾患として最も代表的な全身性エリテマトーデス(SLE)患者で高率に認められる閉塞性動脈硬化症の発症にβ2-グリコプロテインI(β2-GPI)をエピトープ提供タンパクとする抗リン脂質抗体(抗CL/β2-GPI抗体)が関連していることを見出し、抗CL/β2-GPI抗体により惹起される閉塞性動脈硬化症が虚血性心疾患の極めて強い危険因子となることを明らかにした(Nojima J. et al. Rheumatology.47;684-689,2008)。また、SLE患者では単球表面組織因子の発現が異常亢進している症例が高率(38.0%)に認められることを確認し、その単球表面組織因子の発現亢進に抗CL/β2-GPI抗体が関連していることを明らかにした。実際、SLE患者血漿より精製した抗CL/β2-GPI-IgG抗体が、リポポリサッカロイド低刺激により誘発される単球表面組織因子の発現を濃度依存性に増幅させることを確認した(Nojima J. et al. BBRC.365:195-200,2008)。そして、抗CL/β2-GPI抗体により引き起こされる単球表面組織因子発現の異常亢進が、SLE患者における閉塞性動脈硬化症の発症に強く関連していることを明らかにし、単球組織因子発現レベルの定量が動脈硬化性疾患(虚血性心疾患・脳血管障害)の新たな病態マーカーとなる可能性を見出した。
|
Research Products
(10 results)