2009 Fiscal Year Annual Research Report
11-デヒドロトロンボキサンB2の生理的意義:血小板機能とアスピリン不応答性
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20590573
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 栄次 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20181688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西井 伸洋 岡山大学, 大学病院, 助教 (50537214)
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Keywords | トロンボキサンB2 / 血小板機能 / アスピリン不応答性 / 抗リン脂質抗体症候群 / 疾患モデルマウス |
Research Abstract |
アスピリンは世界で最も繁用されている抗血小板薬であるが、適切にアスピリンを服用しているにもかかわらず心血管イベントを発症する患者がおり、「アスピリン不応答性(抵抗性)」と呼ばれている。アスピリン不応答性についてはいくつかの検査法があるが、現時点では個々の患者に対してアスピリン不応答か否かを判定して予後を予測する、あるいは治療方針を決定するための根拠となる標準化された検査法が整備されていない。 アスピリンはシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)の酵素活性を阻害し、その結果、強力な血小板活性化アゴニストであるトロンボキサンA2 (TXA2)産生を阻害する。11-デヒドロトロンボキサンB2 (11-dhTXB2)はTXA2の安定な代謝物であり、尿中の11-dhTXB2は血小板活性化の亢進を反映しているという報告がある。 本研究では、アスピリン不応答を判定するための適切な検査法の候補として、抗11-dhTXB2抗体を用いた尿中の11-dhTXB2測定ELISAの有用性を検討した。前年度に得られた基礎データをもとに、高脂血症の疾患モデルマウスを用いて高脂肪食の負荷と同時にアスピリンあるいはHMG-CoA還元酵素阻害剤を投与して、動脈硬化の進展と尿中11-dhTXB2の関係を調べた。高脂肪食負荷に伴い尿中11-dhTXB2が増加したが、アスピリン投与群ではその増加が抑制された。24週齢時には近赤外蛍光標識した動脈硬化巣(プラーク)に特異的な抗体を用いてin vivoおよび大動脈のex vivo画像撮影を行い、スダン染色による動脈硬化プラークの面積と比較したところ、良い相関が得られた。マウス血中酸化LDL/B2GPI複合体についてもELISAによる測定条件を検討し高感度化をはかり、高脂肪負荷にともなう酸化LDL/B2GPI複合体の増加を認めた。
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Research Products
(5 results)