2010 Fiscal Year Annual Research Report
心血管疾患のリスクファクター、ADMAの代謝機構の解明と病態生理的役割
Project/Area Number |
20590582
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
木本 真順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
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Keywords | 非対称ジチルアルギニン / ADMA / 赤血球カタラーゼ / 動脈硬化 / PRMT1 / GARモチーフ / 翻訳後修飾 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、血漿中の非対称ジメチルアルギニン(ADMA)濃度がどのように調節されているかを解明し、心血管疾患の予防・治療法のターゲットを見つけ出すことである。最初の2年間の研究結果から、赤血球においてはADMAの産生・分解系を含む代謝系が活発に働いていること、赤血球に存在する主要なタンパク質であるカタラーゼ(CAT)とカーボニック アンヒドラーゼ(CA)が血中ADMAの給源となるADMA化タンパク質であることを初めて同定した。本年度は、CATのADMA化の機序を明らかにすることを目的に行った。すなわち、課題1. CATのADMA化に関わる酵素の同定と精製を行うとともに、課題2. CATの精製PRMT1によるADMA化の実証を行った。以下にその結果を報告する。 課題1. これまで、タンパク質アルギニンメチル化反応を触媒する酵素として、11種類のPRMTアイソフォームの存在が報告されているが、天然型酵素としては未だ単離・精製されていない。そこで、まず赤血球抽出液のウエスタンブロット分析によりアイソフォームの同定を行った結果、赤血球には、PRMT1が発現していることが明らかとなった。次いで、本酵素の単離・精製を試みた。酵素活性はPRMT1の良好な基質となるグリシン-アルギニンリッチペプチド(GAR)をGSTとの融合タンパク質(GST-GAR)として発現させ、S-アデノシル[^3H-CH 3]メチオニンを補基質としたときの[^3H-CH 3]の取り込みにより測定した。各種カラムクロマトグラフィーにより、赤血球PRMT1の部分精製標品(収率;46%,精製倍率;866倍)を得た。本酵素の分子質量は、ゲル濾過法により約420kDaと推定され、サブユニット(42kDa)の10量体を形成していることが明らかとなった。また、大腸菌や無細胞発現系にて発現させた組換え型PRMT1に比べると高活性を示した。 課題2. 大腸菌にて発現させた組換え型CAT,赤血球由来精製PRMT1,S-アデノシル[^3H-CH 3]メチオニンを用いて酵素反応を行った結果、CATとPRMT1の結合ならびにCATへの[^3H-CH 3]の取り込みが確認された。 以上の諸結果から、心血管疾患の予防・治療法の新規ターゲット細胞として、赤血球の重要性を示すことができた。
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Research Products
(3 results)