2010 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性フィブリンの血中動態と血栓症における測定意義に関する研究
Project/Area Number |
20590583
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
家子 正裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50250436)
|
Keywords | 可溶性フィブリン / フィブリンモノマー複合体 / 抗リン脂質抗体症候群 / 急性心筋梗塞 / 先天性血栓性素因 |
Research Abstract |
1. 血栓性疾患における可溶性フィブリン(SF)の測定 Auto LIA FMを用いた測定(FMC)では、線溶活性存在下でもフィブリンモノマー(FM)産生は測定でき、一方その他の試薬(イアトロSF、ナノピアSF)では線溶活性が存在すればFM産生を反映できないことが分かった。この差を利用し、二次線溶活性の強い症例を判別することが可能となった。 2. 形態によるSFの分離とその意義 (1) フィルター処理による解析:血栓性疾患の血漿には、0.45μmフィルターさらに0.2μmフィルターで除去できるSF分子がそれぞれ平均20.2%、および2.7%存在することが分かったが、疾患特異性は見られなかった。血栓症発症から24時間以内(N=12)と24時間以降(N=36)のサンプルでも、バラツキが大きく有意差は生じなかった。線溶療法中のサンプルでは0.2μmフィルターで除去されるSFが若干増加(6.6%)し、0.45μmフィルターで除去されるSFは18.1%と減少していた。これらのフィルターで除去できるSFはFibrinogenやFDPと複合体・重合体を形成したものと推察され、線溶療法中ではFDP分解産物(FMDP)が増加しているものと思われた。 (2) 電気泳動による解析:IPG Strips(pH3-10)を用いた等電点電気泳動後、F-405(monoclonal anti-FM antibody)を用いたWestern Blotによる解析では、血栓症患者においてSFのバンドはpH10側に認めた。急性期血栓症のサンプル程、pH10側で分子量の小さなSFのバンドを認める傾向があった。また線溶療法中のサンプルでは、比較的低分子量のSFバンドを確認できた。しかし、定量化はできず、今後さらに症例数を増やし、他の血栓マーカーとの比較解析を行うことにより血栓形成時期でのSF発現の相違を確認したい。
|