2008 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン病態における薬物トランスポーターの発現と機能の機序解明
Project/Area Number |
20590587
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 高明 Aichi Medical University, 医学部, 教授 (80198720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馮 国剛 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70351111)
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Keywords | エンドトキシン / トランスポーター / サイトカイン / 生体膜輸送 / Bcrp / CYP3A2 / IL-6 |
Research Abstract |
マウスにエンドトキシン(10mg/kg)を腹腔内投与したところ、投与24時間後に、肝臓に発現している薬物トランスポーターBcrpの蛋白発現量とBcrpの基質(mitoxantrone)の胆汁排泄能を低下させることが明らかになった。また、エンドトキシン投与後に、インターロイ金1β(IL-1β)とIL-6が過剰に産生した。そこで、肝Bcrpの発現と機能に及ぼすサイトカインの関与について検討した。その結果、 IL-1βはmitoxantroneの胆汁排泄能に影響を与えなかったが、 IL-6(2500〜50000U/マウス)を投与したところ、mitoxantroneの胆汁排泄能はIL-6の投与量に依存して低下した。エンドトキシンおよびIL-6による肝Bcrpの発現低下は蛍光免疫染色法によって確認できた。以上の結果から、エンドトキシンによって過剰に産生されるIL-6が肝Brcpの発現と機能を低下させることができた。 エンドトキシンは一酸化炭素(NO)とTNF-αを過剰生産することによってCYP3A2の発現と活性を低下させる。一方、サリドマイドはNOとTNF-αの産生を抑制する。そこで、エンドトキシンによるCYP3A2の発現と活性低下に及ぼすサリドマイドの影響について検討した。その結果、サリドマイドはエンドトキシンによって低下するCYP3A2の発現と活性を、より低下させることが示唆させた。 エンドトキシンは肝薬物代謝酵素活性を低下させる。臨床で広く用いられている抗真菌薬ミカファンギンの代謝と排泄経路については不明な点が多い。そこで、ミカファンギンの体内動態、特に胆汁排泄に及ぼすエンドトキシンの影響について検討した。その結果、エンドトキシンが肝の薬物トランスポーターであるMrp2の発現量を低下させることによって、美佳ファンギンの胆汁排泄クリアランスを低下させることが示唆された。一方、ミカファンギンの全身クリアランスに対する胆汁排泄クリアランスの寄与が小さいことから、エンドトキシンはミカファンギンの全身クリアランスには影響を及ぼさないことが示唆された。
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Research Products
(12 results)