2010 Fiscal Year Annual Research Report
エンドトキシン病態における薬物トランスポーターの発現と機能の機序解明
Project/Area Number |
20590587
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 高明 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80198720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馮 国剛 愛知医科大学, 医学部, 講師 (70351111)
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Keywords | エンドトキシン / 薬物トランスポーター / 胆汁排泄 / ミカファンギン |
Research Abstract |
ミカファンギンは深在性真菌症の治療に広く用いられている抗真菌薬である。先に我々は、ミカファンギンの一部が未変化体として多剤耐性蛋白2(Mrp2)を介して胆汁および腎排泄されることを報告している。一方、ミカファンギンは主に薬物の第I相解毒に関与するシトクロムP450(CYP)を介して代謝されることが知られているが、その分子種については明らかではない。エンドトキシンは大腸菌や肺炎桿菌などのグラム陰性菌の細胞壁の構成成分であり、グラム陰性菌感染症時の病態発現に深く関与する。先に我々は、エンドトキシンがCYPの活性およびタンパク質発現量を低下させること、様々な薬物の胆汁排泄を遅延させることを明らかにしている。本研究では、ミカファンギンの体内動態、とくに薬物トランスポーターを介する排泄機構に及ぼすエンドトキシンの影響について検討を加えた。エンドトキシン処理および非処理ラットにミカファンギンを1mg/kg単回急速静注したところ、ミカファンギンの血漿中濃度時間推移は両ラット群において有意な差を認めなかった。また、薬物速度論的パラメータにおいても有意な差は認められなかった。この結果は、ミカファンギンの体内動態がエンドトキシン血症ラットにおいて変化しないことを示唆するものである。次に、両ラット群における定常状態におけるミカファンギンの胆汁排泄実験を行ったところ、エンドトキシン処理ラットにおける見かけの胆汁クリアランスおよび真の胆汁クリアランスのいずれも約50%有意に低下した。Immunoblot法により両ラット群における肝Mrp2の蛋白発現量を比較検討したところ、エンドトキシン処理ラットにおいて有意な発現量の低下が観察された。この結果はエンドトキシンによるミカファンギンの胆汁排泄の低下がMrp2の発現量の低下によることを示唆するものである。また、ミカファンギンはCYPを介した代謝の寄与が小さいことが明らかになった。
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Research Products
(10 results)