2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形成症候群の血球形態異常をもたらす分子機構の解明
Project/Area Number |
20590591
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
通山 薫 Kawasaki Medical School, 医学部, 教授 (80227561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田坂 大象 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80343309)
辻岡 貴之 川崎医科大学, 医学部, 助教 (50330551)
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Keywords | 血液学 / 遺伝子 / プロテオーム |
Research Abstract |
骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes; MDS)は血球形態異常がその特徴であるが、形態異常をもたらす分子メカニズムは不明である。本研究では応募者が独自に樹立した5q欠失を有するMDS由来細胞株MDS-Lを用いて、とくに新薬レナリドマイドで処理した際の細胞学的・分子生物学的変化を検討した。MDS-Lのin vitro培養系にレナリドマイドを連日添加すると、複数核細胞が出現・増加するに伴い細胞増殖が抑制された。さらにMicroarrayを用いた網羅的遺伝子発現の解析においてレナリドマイド添加群で複数の細胞周期(特に分裂期)関連分子の発現低下を認めた。一方近年報告されているレナリドマイドの標的候補遺伝子のうち、レナリドマイド処理によりEgr-1(Early growth response-1)の発現上昇が認められた。5q異常を有する他の細胞株、HL60やKG-1においては細胞増殖抑制や複数核細胞の出現は認められなかった。上記所見の詳細なメカニズムの解明は今後の検討によるが、5q欠失MDSに対するレナリドマイドの作用機序の一端を示すものと考えられ、形態異常と腫瘍性増殖の分子標的の解明への展望が開けた。現在さらに分子レベルで解析中である。
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