2009 Fiscal Year Annual Research Report
髄液中の酸化蛋白質のプロテオーム解析によるアルツハイマー病早期診断マーカーの開発
Project/Area Number |
20590594
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
戸田 年総 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都, 研究副部長 (80133635)
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Keywords | 軽度認知障害 / 髄液バイオマーカー / カルボニル化タンパク質 / プロテオーム解析 |
Research Abstract |
若齢性のアルツハイマー病においてはプレセニリンなどの原因遺伝子が特定されており、遺伝子レベルでの診断も可能となってきているが、高齢者の認知症の大部分を占める孤発性のアルツハイマー病(SDAT)においては遺伝子の異常が認められず、脳内で発生した酸化ストレスによる神経細胞の変性の関与が疑われている。 そのため、脳内の酸化ストレス状態の指標の一つとして髄液中のタンパク質の酸化修飾のレベルを調べることで、脳内における酸化ストレスによる神経変性のリスクを予知診断できるのではないかという考えに基づき、酸化タンパク質に標的を絞ってプロテオーム解析を行なった。 昨年度の本研究においては、認知症患者髄液中のタンパク質の酸化修飾として主にカルボニル化について解析を行ない、分子量約1万4千の低分子量タンパク質において、患者間でカルボニル化レベルに有為な差が認められたため、今年度さらにそのタンパク質を詳しく調べた結果、アルツハイマー病の原因タンパク質の一つであり神経細胞障害を引き起こすアミロイドベータペプチドと結合性を有するトランスサイレチンである事が判明した。 そこで本年度は、さらに症例数を増やして、トランスサイレチンの変動を詳細に調べた。トランスサイレチンのカルボニル化については、認知症患者とコントロール群の間で有意な差が認められないとする報告もあるが、彼らの報告は抗体を用いた検出によるものであり、定量性に問題がある。今回我々が実施した、蛍光プレラベル法による分析では、総タンパク量の変動をベースとする相対定量法を確立することができたので、この技術を利用して患者間の差異を定量的に調べた結果、患者間で有意差が認められ、トランスサイレチンのカルボニル化を定量的に調べることによって、神経変性のリスクファクタである脳内の酸化ストレス環境を知るバイオマーカーとして利用できる可能性があることを示唆するデータが得らており、現在更に詳しい解析を進めている。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] ヒト唾液中に存在する2種類のエキソソームのプロテオーム解析2009
Author(s)
小川裕子, 三浦ゆり, 原園景, 金井正美, 戸田年総, 遠藤玉夫, 山口照英, 秋元義弘, 川上速人, 津吹政可, 矢ノ下良平
Organizer
第82回日本生化学会大会
Place of Presentation
神戸
Year and Date
20091021-20091024
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[Presentation] Release of New Web Site for Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital Autopsy Resource(TMGH-AR)2009
Author(s)
Sawabe M, Arai T, Saito Y, Shimizu T, Toda T, Murayama S, Tanaka M, Tokubo K, Naka M, Tanaka N
Organizer
ISBER 2009 Annual Meeting & Exhibits
Place of Presentation
Portland, Oregon, USA
Year and Date
20090512-20090515
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