Research Abstract |
生活習慣病危険遺伝子の検索により、生活習慣依存性に肥満の関連する幾つか険遺伝因子を見つけた。その一つ、Fat mass and obesity associated(FTO)遺伝子多型について、本年度に纏めたので、以下に報告する。 FTO遺伝子rs9939609多型と肥満の関連を大規模疫学研究で検討した.【方法】山形県高畠町の住民検診参加者2,639人(男/女:1168/1470;平均年齢:63.0±10.2)を対象とした.性別,年齢,身長,体重,BMI,FPG,IRI,HbAlc,HOMA-R,血圧,脂質,アディポネクチン,糖尿病,高血圧,脂質異常症などを調査した.アンケートで食事や身体活動(PA)などの生活習慣も調査した.食事はBDHQにて,PAはJALSのPAQにて調査した.【結果】BMIは,TT 23.3±3.2,TA 23.7±3.3,AA 24.4±3.3,p<0.001とTTよりもTA,AA群で有意に高値であった.肥満(BMI≧25)の人数(割合)もTT 477(28.4%),TA 271(32.4%),AA 46(37.7%),p=0.021とTTよりもTA,AA群でより多かった.肥満と関連すると思われるFasting-IRI,HOMA-R,血圧いずれもTTよりもTA,AA群で有意に高値であったが,FPG,HbAlc,脂質,糖尿病・高血圧・高脂血症の有病率に有意差はなかった.年齢と性別で補正したTTに比しての肥満のリスクは、TA(OR:1.21(1.01-1.45),p=0.040),AA(OR=1.53(1.04-2.24),p=0.029)であった.年齢と性別で補正した1日のPA(METs-hour/day)はTT 36.2±5.9,TA 35.8±5.3,AA 35.0±4.4,p=0.130と有意差はなかったが、3METs未満の軽度のPAのみで比較すると,TT 28.4±5.5,TA 29.1±5.2,AA 29.7±4.5,p=0.028,ternd p=0.074でありTTよりもTA,AA群で少なかった.逆に3METs以上の中等度以上のPAのみで比較するとTT 7.8±8.8,TA 6.7±7.8,AA 5.4±5.5,p=0.012であり,TTよりもTA,AA群で中等度以上のPAが多かった.3METs以上の中等度以上のPAの量で,<4.3のLowPA群(n=720),≧4.3のHighPA群(n=715)に2群化して解析すると、本多型はLowPA群でBMIに有意に関連するが(p=0.016),HighPA群では有意ではなかった(p=0.103).AAはLowPA群で肥満と有意に関連するが(OR:2.39(1.19-4.80),p=0.014),HighPA群では有意ではなかった(OR:1.21(0.54-2.71),p=0.650).摂取エネルギー量は3群間で有意差は無かった。【考察】本多型は肥満と関連し,中等度以上の運動が少ない時により強く関連すると考えられた.摂取エネルギーはAA群で少ないにもかかわらず、AA群で肥満が多かった.
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