2010 Fiscal Year Annual Research Report
残留性有機フッ素化合物の体内動態のモデル化と個体差に関する研究
Project/Area Number |
20590597
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 浩二 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80452340)
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Keywords | 衛生 / 環境 / 分析化学 / 社会医学 / 薬学 / 薬物動態学 |
Research Abstract |
環境汚染物質として注目されているペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)およびペルフルオロオクタン酸(PFOA)はヒト体内に蓄積しやすいことが知られている。この原因を知るために一般人口での曝露量と排出に関わるメカニズムの検討が必要であると考えた。PFOAに類似する多種の化合物の曝露を成人の血清中濃度を評価した。PFOAより炭素鎖の長い化合物が急速な増加が認められた。野生生物とともにヒトでも高蓄積性を示された。このような炭素鎖の違いによる物理化学的性質が影響していると考えられた。またヒトでのシミュレーションモデルを開発し、胆汁排泄率、腎クリアランスをもとに分布容積などの動態パラメーターを算出し、一般集団での曝露量を与えて、血中濃度の推定を行い、一致度の高い結果を得られた。動物実験において、リン脂質輸送分子MDR2の発現量とPFOA胆汁濃度が相関することが前年度に示されたため、MDR欠損マウスで動態を評価した。MDR1欠損マウスでは腎臓からのPFOA排出量が低下し、MDR1が尿細管上皮細胞に発現することからMDR1分子がPFOAの排出に関与することを示した。MDR2欠損マウスではPFOA尿中排出量は増加を示したが、MDR2は腎臓では発現しないことから、他の遺伝子発現が変化していることを考え、マイクロアレイで評価し、結果MDR1が誘導されていることが分かった。これらのことから、MDR1により腎臓からのPFOA排出が調節されていることが分かった。
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Research Products
(9 results)