2008 Fiscal Year Annual Research Report
個別化医療実現のための臨床研究のデザインと統計解析に関する研究
Project/Area Number |
20590599
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
松井 茂之 The Institute of Statistical Mathematics, データ科学研究系, 准教授 (80305854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 智視 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60362480)
山中 竹春 国立病院機構九州がんセンター, 臨床研究部, 研究員 (00325466)
大門 貴志 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40372156)
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Keywords | 個別化医療 / ゲノムワイド研究 / 体外診断法の開発 / マイクロアレー / 遺伝子スクリーニング / ベイズ流階層混合モデル |
Research Abstract |
個別化医療の実現のためには新しい診断法の開発法が不可欠である。本年度は、マイクロアレー等を用いたゲノム網羅的研究(ゲノムワイド研究)から臨床変数(病型、薬剤反応性、生存期間など)の予測に役立つ候補遺伝子・マーカーのスクリーニング、並びに、候補遺伝子を用いた予測解析に関する新しい統計的手法の開発を行った。 マイクロアレー研究で数千の遺伝子と臨床変数を関連づける際、多くの遺伝子が関連ありとして報告されることが多い。このとき、関連遺伝子の多くのサブセットから特に予測に役立つサブセットを抽出する方法を開発した。多発性骨髄腫の臨床研究データにこの方法を適用した結果、従来の予測法よりも優れた予測能を示した。 関連の強い遺伝子を選んで遺伝子機能解析や再現性評価などのバリデーションを行う際の必要症例数の設計法を新たに開発した。これは関連の強さに基づいて遺伝子のランキングを行うものであり、関連遺伝子を同定するだけの従来の多重検定(multiple testing)による解析とは一線を画したものである。 関連遺伝子の同定、関連の大きさ(効果サイズ)の推定、効果サイズに基づく遺伝子ランキング、さらに、関連遺伝子のサブセットを用いた期待予測能の推定を行うための統一した解析の枠組みをベイズ流階層混合モデルのもとで構築した。このモデルによって、選択した上位遺伝子の効果サイズが過大評価されるバイアスの補正と、遺伝子間での情報共有による統計的推測の効率化を同時にはかることができる。 統計的手法の実践として、実際の臨床研究で遺伝的多型を含む分子マーカーと有効性や安全性項目との相関分析を行った。診断法の臨床的有用性の評価のための臨床試験で有用と考えられるベイズ流デザインについての検討も行った。
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