2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子疫学的手法を用いたPVL陽性黄色ブドウ球菌・MRSAの蔓延状況の解明
Project/Area Number |
20590608
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小林 宣道 Sapporo Medical University, 医学部, 教授 (80186759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石埜 正穂 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30232325)
鷲見 紋子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10363699)
漆原 範子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80396308)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / MRSA / PVL / 市中感染 / 遺伝子型 / コアグラーゼ型 / MLST |
Research Abstract |
本研究の目的は、市中感染型MRSA(CA-MRSA)の特徴として知られるPanton-Valentine leukocidine(PVL)について、これを保有する黄色ブドウ球菌、MRSAの蔓延状況とその特徴を国内外の分離株について明らかにすることである。今年度は国内の北海道における黄色ブドウ球菌臨床分離株の解析を主に行った。対象菌株は2009年1,2月および7月に札幌臨床検査センターにおいて、北海道内の医療機関で外来患者の検体から分離された黄色ブドウ球菌1017株とした。16SrRNA(staphylococcus)、nuc、mecA、lukS-PV/lukF-PV(PVL)、arcA(USA300 ACME)、MW756(USA400-MW2 strain,nuSa3)、MW1409(USA400 prophage phiSa2mw/phiSa2usa)をZhangらの報告したプライマーを用い多重PCRにより検出した。SCmec型は既報のプライマーを用い、またコアグラーゼ遺伝子型は我々が考案・確立したPCR法により決定した。1017株中、191株(18.8%)がMRSA(mecA陽性)と判定された。PVL遺伝子はMRSA3株、MSSA2株に検出された。PVLとともにCA-MRSAの特徴とされるarcAはPVL(-)MRSA2株に検出された。MRSAではコアグラーゼ型II型が82%と最も優勢であった。殆どのMRSA(81%)のSCCmec型はType IIであったが、PVL陽性MRSAのうち2株はType IV、他のI株はType VのSCCmecを有していた。PVL陽性MRSA3株は膿または耳漏に由来し、コアグラーゼ遺伝子型IVまたはVIIに属し、MLSTではST6、ST59に分類された。ST59は台湾での分布拡大が報告されているCA-MRSAの型であり、ST6は国内外ともに市中感染型では稀な型であった。市中感染型MRSAに特徴的なarcAは、コアグラーゼ型II、ST5の株に検出された。今回調査した北海道の外来患者由来CA-MRSAの多くはPVL遺伝子陰性で院内感染型MRSAに類似していると考えられたが,PVL遺伝子またはarcA陽性MRSAで、本邦では報告のないSTに属する株が少数検出されたことから、今後それらの拡大に注意が必要であると考えられた。
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Research Products
(6 results)