2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590610
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
里見 佳子 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 講師 (90270678)
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Keywords | カロテノイド / G1アレスト / GADD45A / MAPK / P450 / 抗腫瘍作用 |
Research Abstract |
1.機能性に関する研究;抗腫瘍作用の解析 カロテノイドの1つであるフコキサンチンは、前立腺がん細胞DU145において経時的、濃度依存的に細胞周期のG1アレストをおこし、細胞増殖を抑制した。その時、GADD45Aの発現誘導が観察され、RNA干渉実験より、GADD45AがフコキサンチンによるG1アレストに関与していることが示唆された。一方、MAPKはJNK以外の活性化は見られず、DU145細胞においてはフコキサンチンによるG1アレストにはMAPKはほとんど関与していないことが考えられた。さらに比較のためにホルモン感受性の異なる前立腺がん細胞LNCapでフコキサンチンの作用を見たところ、同じくG1アレストとGADD45Aの誘導が見られた。またDU145と異なりp38MAPKとERKの一過性の活性化、そしてJNKの活性化が見られた。しかし、RNA干渉実験、MAPKの特異的阻害剤を用いた実験から、LNCapではフコキサンチンによるG1アレストにGADD45AやMAPKはあまり関与していないことが考えられた。このように、同じ前立腺がん細胞でもフコキサンチンによるG1アレスト誘導の作用機序は異なることが明らかとなった。 2.安全性に関する研究;P450の誘導の有無 P450のうち、CYP1A1酵素活性に対する影響を検討した。β-カロテンなど、いくつかのカロテノイドはCYP1A1活性を誘導したが、フコキサンチンは、CYP1A1活性を阻害することがわかった。フコキサンチンも他のカロテノイドと同じくCYP1A1の発現誘導は起こすが、酵素活性は阻害することが明らかとなり、より安全なカロテノイドである可能性が考えられた。
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