2008 Fiscal Year Annual Research Report
肥満と炎症のクロストークに対するマクロファージ分化制御機構:生活習慣病への応用
Project/Area Number |
20590614
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
木崎 節子 Kyorin University, 医学部, 准教授 (00322446)
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Keywords | マクロファージ / 肥満 / 炎症反応 / 生活習慣病 / 一酸化窒素 / アドレナリン受容体 |
Research Abstract |
脂肪細胞においてエネルギー代謝に関与しているアドレナリン受容体(β_2AR)は、マクロファージにも発現が認められる。そこで、β_2ARと炎症反応を誘導するToll様受容体とのクロストークを検討した。RAW264をLPS刺激し,β_2ARのmRNAとタンパク質レベルを解析した。いずれも著しい低下が認められ,これはLPS刺激による誘導型NO合成酵素(NOS II)の発現誘導と逆相関していた。LPS刺激によるβ_2ARの発現抑制機構の存在と,β_2ARのNO産生調節への関与が示唆された。そこで、β_2AR強発現細胞株(RAWar)を樹立し,LPS応答におけるβ_2AR発現抑制の役割を検索した。RAWar細胞にはNF-κBの活性化抑制とNOS II発現量の著しい低下が認められた。β_2ARの発現抑制はβ-arrestin2の発現抑制を伴っていた。一方、β-arrestin2は、細胞質のIκBαを安定化し分解を阻害することによってNF-κBの活性化を抑制していることが示唆された。TLR4の下流には少なくとも2つの情報伝達系(MyD88依存性とTRIF依存性)の存在が知られている。そこで、それぞれのsiRNAによりその発現をノックダウンしたRAW264細胞をLPS刺激し、β_2AR発現量変化を解析した結果、β_2AR発現抑制がTRIF依存性情報伝達系により制御されていることが明らかとなった。 以上の結果から、1)β_2ARはIκBαの安定化と分解阻害を行っているβ-arrestin2の発現調節を行うことによってNF-κBの活性化を調節していること、2)TRIF依存性のβ_2ARとβ-arrestin2の発現抑制は、NF-κBの活性化を促進することで、生体防御能の増強に関与していることが示唆された。
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