2010 Fiscal Year Annual Research Report
学校現場で日常的・継続的に実施できる児童生徒のうつ状態チェックプログラムの開発
Project/Area Number |
20590635
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
竹内 一夫 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60251089)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 由起子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30342687)
|
Keywords | 学校 / 児童生徒 / うつ状態 |
Research Abstract |
本研究の目的は児童生徒のうつ状態の有無について、養護教諭らが日常的かつ継続的にスクリーニングすることのできる簡便なプログラム(生徒用と教師用)を学校現場に提示することである。前年度調査は埼玉県内の3つの公立中学校生徒の1、2年生の男女163名のデータにより分析を行ったが、標本数を増やすため、当該年度ではさらに1県立高校2年生180名と1公立中学2年生73名よりデータを追加収集し、同様な分析を行った。しかし同様に、生徒用と教師用の一致度は全般的に低く、生徒自身の回答に比べて教師側では症状の程度を低い側に回答する傾向が見られた。そこで、教師側の陽性判定の基準を1レベル下げて以下の分析を行うこととした。テキサス大学方式診断的抑うつ尺度DSDによりうつ状態と判定されたものについて、先行研究の結果から臨床的なうつ状態に準ずるものと考え、この判定と上記の簡易版の生徒用・教師用尺度の陽性判定結果との関連を検討した。DSD判定によるうつ状態に対する生徒用尺度(「気分の調節不全傾向」)の惑度、特具度、一致度(Kappa)は中等度であったが、教師用尺度(「教師によるチェックポイント」)では全て非常に低かった。下位カテゴリーについて同様に検討したところ、教師用尺度は感度の面で「抑うつ気分」「集中力低下」などが比較的高かったもののやはり全般的に生徒用尺度より精度が低かった。そこで、両者から項目を選びだして再構成をするのではなく、両者をそのまま全て使用し、陽性判定基準を「どちらか-方で陽性」とすることを検討し、この基準で再計算したところ、感度.529、特異度.886、一致度(Kappa).268となり、感度においては若干の上昇が見られた。現行のプログラムをそのまま使用し、今回定められた陽性判定基準とエクセルによる判定プログラムを添えて、今後学校現場へ提供することとした。すでに調査協力校の一部で、このプログラムを用い、試験的に保健指導が開始されている。
|