2010 Fiscal Year Annual Research Report
病院ベースの患者対照研究により閉経後の卵巣の意義を探る
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20590646
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上村 浩一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50346590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有澤 孝吉 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30203384)
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Keywords | 閉経後女性 / 自然閉経 / 両側卵巣摘出 / 動脈硬化 / 血管脈派伝播速度 / 腹囲 |
Research Abstract |
徳島大学病院産婦人科外来を受診した同意の得られた自然閉経後ならびに両側卵巣摘出後女性に対して、一般診療に加えて、既往歴、生殖歴や生活習慣などに関する自記式質問票調査や腹囲測定を行うとともに、動脈硬化初期における血管壁の弾力性の低下を捉える指標である血管脈波伝播速度(Pulse Wave Velocity ; PWV)を測定した。質問票調査で循環器疾患の既往ありと答えた婦人は解析から除外した。PWV値は年齢および閉経後年数と有意な強い正の相関を示した。BMI、腹囲とも有意な正の相関を示し、腹囲との相関係数の方が高かった。身長とは有意な負の相関を示した。年齢で調整しても同様の傾向であった。PWVの年齢調整平均値は両側卵巣摘出後女性の方が自然閉経後女性より高値であったが、有意差は認めなかった。次に、BMI 25kg/m^2・腹囲90cm・腹囲80cmという3つの基準を用いて2群に分けた際のPWV値の年齢調整平均値は、腹囲80cmで分けた際にのみ2群間で有意差を認めた。さらに、腹囲に身長の要因を加味するために腹囲/身長や腹囲/身長2という指標を作成して、年齢で補正した偏相関分析を行うと、PWV値は両指標と有意な正の相関を示し、腹囲単独よりも相関係数が高かった。PWV値を指標とした際には、腹囲のカットオフ値はメタボリック症候群の日本人女性の基準とされている腹囲90cmより、NECP ATPIII(2005年版)のアジア人向けの基準である腹囲80cmで区切るのが妥当であり、さらに、腹囲に身長の要因を加味することの有用性が示唆された。また、PWV値は加齢や閉経後年数の経過とともに上昇し、両側卵巣摘出により早期に閉経した女性は、自然閉経後の女性よりも、同年齢でも血管壁の弾力性の低下が大きい可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)