2010 Fiscal Year Annual Research Report
成人期に達した川崎病既往者は生活習慣病危険因子を有するか
Project/Area Number |
20590657
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
上原 里程 自治医科大学, 医学部, 准教授 (90276999)
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Keywords | 疫学 / 川崎病 / 動脈硬化 / 危険因子 |
Research Abstract |
川崎病は5歳未満の乳幼児が主に罹患する急性熱性疾患であり、標準的な治療を行っても5-10%の患者に冠動脈障害を残すことが問題である。しかし、たとえ明らかな冠動脈障害を残さずとも幼少期の冠動脈の炎症が成人期に動脈硬化促進因子となるのではないかと危惧されている。本研究では職域健診(一般健康診断)の受診者から川崎病既往者を選定し、健診結果を用いて川崎病既往者の生活習慣病危険因子の保有状況を明らかにすることを目的としている。 平成22年度は引き続き研究協力を事業所に依頼した結果、1事業所から協力が得られた。平成21年度の対象者数と合わせて5事業所2,984人に川崎病既往を尋ねる調査票を配布し、2,246人(75%)から回答が得られた。そのうち20人が既往ありと回答したが、過去の全国調査と照合できたのは13人(男7人、女6人)だった。このことから20-39歳の就業者の川崎病既往頻度は0.6%と算出できた。既往確実例1例につき同事業所から性および年齢をマッチさせたコントロール2名を無作為抽出して健診結果を比較した症例対照研究では、過去喫煙を含む喫煙歴が既往者では31%(非既往者42%)とやや小さく、収縮期血圧が既往者では106mmHg(中央値、非既往者114mmHg)とやや低い傾向だった。いずれも統計学的には有意ではなかった。BMI、拡張期血圧、血清HDLコレステロール、中性脂肪、および空腹時血糖はいずれも同等の値だった。このことから、20-39歳の川崎病既往者は積極的により良い生活習慣を心がけているのかもしれないと推測でき、動脈硬化リスクの軽減のために心後遺症のない既往者を含めて生活習慣改善の啓発を継続的におこなうべきであると結論づけた。
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