2008 Fiscal Year Annual Research Report
日米の血漿ホモシステイン、関連ビタミンB群および潜在性動脈硬化所見の比較研究
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20590670
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
岡村 智教 National Cardiovascular Center Research Institute, 予防検診部, 部長 (00324567)
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Keywords | 葉酸 / ホモシステイン / 冠動脈石灰化 / 内膜中膜複合体 / 日米比較 / ビタミンB12 |
Research Abstract |
ホモシステインは日本人の脳梗塞の危険因子であることが指摘されている。ホモシステインがメチオニンに再メチル化される際に補酵素として葉酸を必要とするため、その血中レベルは血漿ホモシステインと負の関連を示す。しかしながら日米の地域集団でホモシステインや葉酸の血中濃度を直接比較した研究はなく、これらの値と動脈硬化との関連に日米差があるのかどうかも明らかではない。本研究では同一の測定系で日米2集団の血中ホモシステインと葉酸を測定し、冠動脈石灰化や頸動脈内膜中膜複合体との関連を検討する。今年度は日米の血清葉酸値を化学発光免疫測定法で測定して比較した。また血清葉酸値と動脈硬化所見の関連を検討した。ピッツバーグ市と滋賀県草津市在住の40歳代男性(297人と311人)を対象とした。血清葉酸値は日本人11.5±6.4、米国白人21.1±8.7(nmol/L)で有意に米国のほうが高かった。ビタミンサプリメント常用者の血清葉酸値は非使用者に比し有意に高く、米国では25.1と16.9、日本では14.1と11.0(nmol/L)であった。なお非使用者だけで比較しても米国の血清葉酸値のほうが高かった。年齢や脂質、高血圧などの交絡要因調整後の葉酸1nmol/Lあたりの冠動脈石灰化オッズ比は、米国で0.98(95%CI:0.95-1.02)、日本で1.03(95%CI:0.97-1.09)であり、ほとんど関連を認めなかった(石灰化はAgatstonスコアで10以上と定義)。総頸動脈の内膜中膜複合体と葉酸との関連を線形回帰分析で検討したが、米国、日本ともに関連を認めなかった(それぞれP=0.39とP=0.29)。米国のほうが動脈硬化症の有病率が高いため、血清葉酸値は日米の有病率の違いを説明する要因ではないと考えられた。次年度以降、両集団のホモシステインの比較を実施していく。
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Research Products
(3 results)