2009 Fiscal Year Annual Research Report
日米の血漿ホモシステイン、関連ビタミンB群および潜在性動脈硬化所見の比較研究
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20590670
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
岡村 智教 National Cardiovascular Center Research Institute, 予防検診部, 部長 (00324567)
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Keywords | ホモシステイン / 葉酸 / 飲酒 / 日米比較 / 生活習慣 / 多変量解析 |
Research Abstract |
アミノ酸の一種であるホモシステインの高値は欧米では心筋梗塞、日本人では脳梗塞の危険因子であることが指摘されている。ホモシステインはメチオニンに再メチル化される際に補酵素として葉酸を必要とする。今年度はこれらのバイオマーカーと飲酒の関連を検討した。米国ピッツバーグ市と滋賀県草津市の40歳代男性(310人と312人)の血漿ホモシステインと血清葉酸をそれぞれ同一の検査室で測定した。禁酒者(米国集団n=27、日本集団n=5)を除く、各283人と307人を解析対象とした。飲酒量は1日のエタノール摂取量で求め、非飲酒、1-22、23グラム以上の3群に分類した。飲酒量の中央値は米国白人で6.2グラム(1.6、16.5)、日本人で17.1グラム(2.9、42.9)であった(Inter-quartile range)。葉酸は米国20.8±8.6、日本11.4±6.4(nmol/L)で有意に米国のほうが高く、血漿ホモシステインは米国8.5±5.2、日本13.3±6.6(μmol/L)で有意に日本のほうが高かった。共分散分析で年齢、ビタミンサプリメント使用、ウエスト周囲径を調整すると、非飲酒、1-22、23グラム以上の葉酸値は、米国で8.7、9.1、9.7、日本で4.4、4.6、5.7であり、飲酒量が増えると上昇する傾向を認めた(日本集団で有意差あり)。一方、ホモシステインは、米国集団で8.3、8.5、8.4、日本集団で12.8、13.7、13.2であり、飲酒量との関連を認めなかった。本研究では飲酒量が増えると葉酸値が上昇する傾向を示したが、それに伴うホモシステインの低下は認めなかった。飲酒者は葉酸の摂取量が多い反面、メチオニンの摂取量が多い、ビタミンB12やB6の摂取が少ないなど、何らかのホモシステイン上昇要因を別に持っている可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)