2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20590673
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高安 達典 金沢大学, 医学系, 准教授 (80154912)
|
Keywords | MDMA / 合成 / 麻薬 / 分子 / 毒性機構 / 病態解析 / 細胞レベル / 個体レベル |
Research Abstract |
今年度は血管内皮細胞毒性試験において、合成麻薬MDMAを10μMから20mM、即ち2.3μg/mLから4.6mg/mLまでの最終濃度になるよう培地に添加し、細胞の形態を1,4,24および48時間観察した。1時間では5mM(1.1mg/mL)濃度で形態に変化を起こし、10および20mMでは細胞は死滅した。さらに4時間以上では2mM(0.24mg/mL)でも細胞の形態に変化を起こした。しかし、それ以下の濃度では1時間から48時間の間細胞の形態に変化は起こらなかった。従って、細胞形態レベルでは0.24mg/mLまでのMDMA度まで毒性は示されなかった。一方マウス(BALB/C種)を用いたMDMA投与実験では体重kg当たり2,10および40mgを腹腔投与したところ、2mg投与の場合はやや普段よりは落ち着かない様態を約1時間後まで示した。10mg投与の場合は首を頻繁に動かすなどの落ち着かない様態を明確に示し4-6時間持続した。40mg投与の場合は激しく興奮し投与後約8時間までは持続していた。この40mg投与時の血中MDMA濃度(μg/g)は103(0.5時間),72.2(1時間),68.6(2時間),6.53(6時間)であった。従って、MDMA投与の場合も行動毒性は細胞毒性より低濃度で示されることが改めて確認された。さらにMDMA40mg投与の場合炎症の目安となる血清ALT値を測定した。投与2時間後(114)、同8時間後(97)、同24時間後(268)となり、生食水を投与したブランクでは(38)であることから投与2時間後から軽い炎症反応が起きている可能性が示唆された。
|