Research Abstract |
本年度は,DNase Iの検出方法の確立を主なテーマとして行った。 まず,ヒトの各臓器におけるDNase I mRNAの発現を詳細に検討するために,リアルタイムPCR法を用いて,急性心筋梗塞で死亡した症例の心臓組織において,DNase Iの検出を試みた。その結果,いずれの症例(5例)においても, mRNAを検出することはできなかった。この原因としては,司法解剖では,急性心筋梗塞を発症して死亡した後,発見されるまでの時間が1日程度あり,その後,司法解剖において,心臓組織が採取されるまでにも1日程度要するため,RNA分解酵素によりDNase IのmRNAが分解されるためであろうと推測される。 DNase IをmRNAによらず,その他の方法によりその発現を確認する方法を確立する必要があると考えられることから,次年度では,免疫組織化学法により,DNase Iの発現を試みる予定である。たしかにヒトではなく,動物を用いてDNase IのmRNAの発現を検索すべきとも考えられるが,本研究の目的として,ヒトへの応用をまず第一に目指していること,また,研究代表者らは,急性心筋梗塞の動物モデルを作製する技術を持ち合わせていないことから,急性心筋梗塞動物モデルを確立して,動物モデルによりその発現を検証することは極めて困難な状況である。 したがって,次年度でも,リアルタイムPCR法によりDNase IのmRNA発現を検出する方法の確立に努めるが,その他,免疫組織化学法による手技の樹立をも合わせて行う予定である。また,急性心筋梗塞による死亡解剖症例の収集にも努め,検出に適した状態のサンプル収集も引き続き行っていく。
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