2008 Fiscal Year Annual Research Report
心臓性突然死の原因遺伝子解析ー心筋ミトコンドリア遺伝子解析ー
Project/Area Number |
20590685
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 茂基 Kitasato University, 医学部, 講師 (70130268)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 理孝 北里大学, 医学部, 講師 (90051911)
栗原 克由 北里大学, 医学部, 教授 (90138123)
|
Keywords | 心筋症 / ミトコンドリアDNA / 心臓性突然死 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
遺伝子異常により心臓性突然死をきたす疾患の一つとして心筋症が知られているが、本研究は年度内に心筋症の発症原因の一つと考えられているミトコンドリア遺伝子異常について、剖検時肥大型(HCM)および拡張型(DCM)心筋症と診断された症例の遺伝子解析を行いミトコンドリア心筋症の実態を明らかにするとともに、突然死の死因究明に際して、その確定診断を遺伝子解析で行えるよう、ご遺族に対するインフォームドコンセントを含めたより効率的な遺伝子解析システムを開発することを目的としている。解析資料はすでに収集されているHCM28例、DCM16例、対照例として心重量500g以上の心肥大を伴う突然死症例24例、その他の突然死症例97例の血液および心筋であるが、本年度は、まず対照症例97例を中心に解析するとともに、HCMおよびDCM症例についてもサルコメア構成遺伝子も加えて解析を行った。血液および心筋よりQuickGene-800を用いてDNAを抽出し、ヒトミトコンドリアDNAの全領域をカバーするプライマーセットmitoSEQr^<TM>リシーケンシングシステム(Applied Biosystems)を用いてPCR増幅後、ダイレクトシークエンスにより塩基配列の決定を行った結果、対照症例によるコントロール領域の解析では91種のハプロタイプを検出した。このデータは今後個人識別を始めとする法医実務にも利用可能である。また、コード領域の解析では、DCM症例で、対照症例にはない新たな一塩基置換T10401CおよびT1452Cを検出した。エネルギー生成器官であるミトコンドリアの遺伝子異常により心筋症を発症した可能性が示唆された。遺伝子の異常を解析することはその疾患を治療するうえで重要な第一歩である。従って、本研究は突然死の死因究明並びに心筋症の早期診断に有用であると考えられた。
|
Research Products
(3 results)