2009 Fiscal Year Annual Research Report
心臓性突然死の原因遺伝子解析-心筋ミトコンドリア遺伝子解析
Project/Area Number |
20590685
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 茂基 Kitasato University, 医学部, 講師 (70130268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 克由 北里大学, 医学部, 教授 (90138123)
古川 理孝 北里大学, 医学部, 講師 (90051911)
村上 千香子 北里大学, 医学部, 助教 (30433717)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / 心臓性突然死 / 遺伝子解析 / 肥大型心筋症 / 拡張型心筋症 |
Research Abstract |
心臓性突然死の原因遺伝子解析の一環として、本研究は年度内に剖検時心筋症と診断された症例について遺伝子解析によりミトコンドリア心筋症の実態を明らかにするとともに、突然死の死因究明に際して、その確定診断を遺伝子解析で行うためのより効率的な遺伝子解析システムの開発を目的としている。本年度はミトコンドリアDNAの全領域を解析するとともに、サルコメア構成遺伝子も加えたより効率的な遺伝子解析システムの開発についても検討を行った。解析資料はすでに収集されているHCMl5例、DCMl3例、ARVCM2例および対照例として特記すべき疾患のない突然死症例145例の血液および心筋である。血液および心筋よりQuickGene-800を用いてDNAを抽出し、まず、ヒトミトコンドリアDNAの全領域をカバーするプライマーセットmitoSEQr^TMリシーケンシングシステム(Applied Biosystems)を用いてPCR増幅後、ダイレクトシークエンスにより塩基配列の決定を行った。解析の結果、コード領域においてDCM症例に新たな一塩基置換Tl0401CおよびTl452Cを検出した。さらに、これら遺伝子変異についてリアルタイムPCR法により量的解析を行ったところ、血液と心筋DNAで有意な量的差異は認められなかった。次に、サルコメア構成蛋白をコードする遺伝子の一つである心室型ミオシン調節軽鎖(MYL2)・必須軽鎖(MYL3)遺伝子の変異解析を行ったところ、HCM症例のMYL3にミスセンス変異Ala57Glyを検出した。従って、この変異がHCM発症に関与したと考えられた。また、心筋症による突然死症例の約50%にサルコメア構成蛋白をコードする遺伝子(主にMYBPC3、MYH7、TNNT2)に変異が存在することも明らかにした。以上の結果から、本研究は突然死の死因究明並びに心筋症の早期診断に有用であると考えられた。
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Research Products
(7 results)