2010 Fiscal Year Annual Research Report
心臓性突然死の原因遺伝子解析-心筋ミトコンドリア遺伝子解析-
Project/Area Number |
20590685
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 茂基 北里大学, 医学部, 講師 (70130268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 千香子 北里大学, 医学部, 助教 (30433717)
古川 理孝 北里大学, 医学部, 講師 (90051911)
栗原 克由 北里大学, 医学部, 教授 (90138123)
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Keywords | 心筋症 / 拡張型心筋症 / 肥大型心筋症 / ミトコンドリアDNA / ハプログループ / 心臓性突然死 / 遺伝子診断 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異に基づく心筋症による突然死の実態を明らかにすることを目的に、剖検時肥大型(HCM)および拡張型(DCM)心筋症と診断された症例についてmtDNA解析を行った。 ご遺族より同意を得た心筋症により突然死した37例の血液および一部症例の心筋を対象とし、対照には連結不可能匿名化して保存されている151例の血液を用いた。DNA試料はmitoSEQr Resequencing SystemによりmtDNA全領域を増幅した後、ABI 3130 genetic analyzerにてシークエンス解析を行った。 タンパクコード領域において心筋症のみに認められたミスセンス変異はDCM15ヵ所およびHCM3ヵ所であり、このうち6ヵ所、m.6999G>A(V366M)、m.8888T>C(I121T)、m.8945T>C(M140T)、m.9040C>T(H172Y)、m.9853C>T(T2161)、m.15806G>A(A354T)は、今回新しく検出された変異であった。ハプログループG1およびN9bはそれぞれHCMおよびDCMで対照例との間に有意な差が認められた(G1:p=0.0038、N9b:p=0.0021)。ミスセンス変異が検出されたDCM2例については、サルコメア構成タンパク遺伝子中にもミスセンス変異が検出され、心筋症病態をより重篤なものにしていた可能性が示唆された。 本研究で検出された6ヵ所の新しい変異は酵素複合体サブユニットの機能に影響を与えていたと考えられた。DCMの42%、HCMの20%の症例にミスセンス変異が検出されたが、その差は有意であり(p<0.01)、mtDNA異常が主にDCM発症に関与していることが示唆された。本研究はmtDNAに基づく心筋症の病因の解明に有用で、病態を基礎とした遺伝子診断、重症度分類、治療、予防に貢献するものと考えられた。
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Research Products
(5 results)