2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラット創傷における血管及びリンパ管新生の形態学的及び免疫組織化学的研究
Project/Area Number |
20590686
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
野上 誠 Teikyo University, 医学部, 教授 (20218291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 一郎 帝京大学, 医学部, 講師 (40091045)
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Keywords | VEGF / リンパ管 / ポドプラニン |
Research Abstract |
本研究者らは、これまで、創傷の治癒過程における血管再生において、早期からVEGF産生が認められ、これが創傷部に浸潤する多形核白血球による可能性を免疫組織化学的に示してきた。そこで、創傷部におけるVEGF産生が創局所に浸潤する多形核白血球によるものかを検討するため、ラットにサイクロホスファマイド(CPM)を投与して白血球を減少させた条件下で皮膚創を作成すると、創部のVEGF蛋白量とVEGFmRNAは共にCPMによる白血球減少下で減少していた。次にリンパ管マーカーであるポドプラニンによる創部の免疫染色を行った結果、血管内皮マーカーであるvWFの染色との比較検討により、ポドプラニンはリンパ管を選択的に染色していることが確認された。その上で、ポドプラニン陽性のリンパ管の修復過程を検討すると、リンパ管は、創修復部には伸びていかず、創中心部が瘢痕収縮により縮んでいくのに伴って、周囲の健常部の結合組織が創中心部に近づいていき、その中のリンパ管が創中心部に近づいていくことが明らかとなり、血管が創中心部に早期から伸び出していくのとは、修復形態が大きく異なることが明らかとなった。さらに、免疫組織電子顕微鏡観察(免疫電顕)の基礎的検討として、Flt-4による免疫電顕を検討したところ、血管新生部位に内皮細胞の分裂像が見られた。同様に抗VEGF抗体による免疫電顕で、創中心部の血管形成が認められない部分においても、線維芽細胞あるいは種々の炎症性細胞が浸潤しそれらの細胞質内に抗VEGF抗体の反応が認められた。これらは今まで報告のない新しい知見で、今後細胞分裂マーカーなどにより確認する予定である。
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