2008 Fiscal Year Annual Research Report
身元確認のための可視光励起蛍光撮影法を応用した歯冠色歯科材料の異同識別の研究
Project/Area Number |
20590688
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
網干 博文 Nihon University, 歯学部, 専任講師 (60212560)
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Keywords | 歯科法医学 / 異同識別 / 物体検査 / 歯科材料 / 蛍光撮影 |
Research Abstract |
波長可変型光源装置を用いた光励起による歯冠色歯科材料同定のための評価法の確立を目的とし、初年度は以下の成果を得た。1、平成14、15年度本研究費で作製した金属焼付け用陶材冠10製品の試験体を利用し、紫外線から近赤外までの波長を8種類照射し、蛍光波長のみを効率よく正確に測定するための至適条件を検索した。(1)トリアセチルセルロース製のショートカット(SC)フィルター16種、バンドパス(BP)フィルター4種のうち、350〜555nmの8段階の励起・反射光を効果的に除くには、6種類のSCフィルターが適当である。(2)ただし、フィルター自体の蛍光性の影響も今後検討する余地がある。 (3)照射野は被写体との距離10cmで直径約10cmの円形であり光度ムラが認められた。歯列が検査対象となる場合は、防止のためラインライトガイドの使用が望ましい。2、蛍光特性をデジタル画像として保存し、CRT画面上で蛍光性の違いから肉眼的に製品識別が可能か否か検討した。(1)励起波長350nm、可視光励起波長415および450nmでのみ蛍光強度の違いを認めた。(2)470nm以上での製品間の蛍光性の差は肉眼では確認不可能であった。3、初年度は、金属焼付け用陶材冠のみを扱う予定であったが、その蛍光性が明確に確認できなかったため、別の歯冠色歯科材料である硬質レジン6製品を収集し同様の実験を行なった。(1)350nmでは全製品で蛍光性を確認し、色合いの違いでも識別可能であった。(2)415ならびに450nmでも全製品で蛍光性があり特に2製品で顕著であった。(3)470〜505nmでは波長が長くなるにつれ蛍光性が減じ、505nm以上では目視では確認不可能であった。以上、金属焼付け用陶材は紫外線のみで、また前装用硬質レジンはある特定波長域に強い蛍光性を示し、製品識別には、より高精度の蛍光検出法を検討する余地があるものの、大まかな材質の識別は十分可能であった。
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