2008 Fiscal Year Annual Research Report
死因不詳の突然死症例におけるカルシウム依存性情報伝達物質遺伝子変異解析
Project/Area Number |
20590691
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 廣一 Osaka Medical College, 医学部, 教授 (60171211)
|
Keywords | 不整脈 / 突然死 / ストレス / 剖検 |
Research Abstract |
平成5年から本研究計画期間中までに大阪医科大学法医学教室で解剖された遺体のうち、比較的若年者で死亡時の状況からは心臓性突然死が強く疑われるものの解剖によっては明らかな異常が認められなかった症例について、研究計画に沿って、まずリアノジン受容体2型の変異検索をおこなった。リアノジン受容体2型は心筋に抱負に発現しているカルシウムチャンネルで、その変異はカテコラミン誘発性多型性頻拍の原因となることがすでに知られている。運動時等に重篤な不整脈を生じて突然死の原因となる。 これまで解析した症例のうちの3例にリアノジン受容体2型のアミノ酸変異を伴う変異が発見された。うち1例は新規の片でこれまでに報告例がない。この変異が発見された症例は、20代の女性で,心理的ストレス負荷時に突然意識を喪失して、そのまま回復することなく死亡したものである。死亡時の状況と解剖所見からは、ストレスによるカテコラミン優位の状況下で、不整脈が発生したと考えられる。 この変異の日本人における変異頻度をあわせて検討したところ、日本人200人中にこの変異は発見されなかった。このことから、発見された変異は、DNA多型ではなく、まれな変異であると推定される。 この変異が新規のものであることから、変異の実際のカルシウムチャンネル機能における影響については、詳細な検討ができない。今後、変異を導入した遺伝子改変動物や変異を導入した細胞のパッチクランプ法による解析等によって検討してみる余地があると思われる。こうした検討は、変異を発見された被害者の死因検索に有用なだけでなく、被害者遺族に対する今後の治療を含めた配慮の必要性を検討する上で、有用な情報を提供すると考えられる。
|