2009 Fiscal Year Annual Research Report
死因不詳の突然死症例におけるカルシウム依存性情報伝達物質遺伝子変異解析
Project/Area Number |
20590691
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 廣一 Osaka Medical College, 医学部, 教授 (60171211)
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Keywords | 突然死 / 遺伝子変異 / 法医解剖 |
Research Abstract |
本年度は、昨年に引き続き小胞体膜状にあるカルシウムイオンチャンネルであるリアノジン受容体遺伝子変異の検索をおこなった。心筋に豊富に発現しているリアノジン受容体2型の変異を検索し、3例の変異が発見された。このうち2例の変異は同一のもので、すでに若年性突然死症例の中に報告されている。残り1例については新規の変異であったために、健常者中の変異頻度の検討を行ったが、その結果、発見された変異はDNA多型ではないことが予想された。続けて、リアノジン受容体1型の変異を検索し、やはり3例の変異症例を発見した。これらの変異は精神疾患罹患間者の原因不明の突然死症例中に発見された。時折、精神科関係の突然死症例が法医解剖される場合があるが、これらの解剖症例中には、リアノジン1型変異の関与の疑われる場合があるのでないかと考えられる。リアノジン受容体中、脳に豊富に発現している3型については未だその生理活性がよくわかっていない。リアノジン3型の変異を現在検討中であるが、今のところリアノジン3型遺伝子の変異は法医解剖症例で原因不明の突然死を来たした症例中には発見されたいない。今後検討を継続する予定である。リアノジン受容体の解析がほぼ終了してきたので、細胞内のカルシウムイオン濃度調節に関与しているIP3受容体、ホスホランバンの遺伝子変異解析を続けておこなっている。ボスホランバンの変異については拡張型の心筋症に関与しているとされており、突然死症例中に発見される可能性が認められたが、これまで検討した症例中には、ホスホランバン遺伝子の変異は発見されなかった。
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