2010 Fiscal Year Annual Research Report
TRP分子標的嗅覚刺激による高齢者アノレキシアの中枢機序解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
20590694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海老原 孝枝 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (30396478)
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 摂食障害 / TRP / 嚥下反射 / 摂食再開 / 島皮質 / 前帯状回 / 低栄養 |
Research Abstract |
人咽喉頭知覚神経節終末に存在するTRPV1及びTRPM8を、それぞれのアゴニスト(Capsaicin : Ebihara T. Lancet 1993, J Am Geriatr Soc(]AGS) 1995, Menthol : Ebihara T.Br J Clin Pharmacol 2006)を刺激することにより、また、人嚥下上位中枢の島皮質を刺激する匂い(黒胡椒精油)による嗅覚刺激(Ebihara T. JAGS 2006)により、これまで、私たちが提唱してきた誤嚥予防薬(ACE阻害剤・ドーパミン剤・PDE-III阻害剤)を飲用できない患者に対するケアとして、ドラッグガスデリバリーを用いた黒胡椒嗅覚刺激によるパッチ製剤(特 3762969 号)、及び、カプサイシン含有トローチ(現在、テープ剤を開発、三和化学より販売)、メンソール含有誤嚥防止用ゼリー(特許出 20062768)を世に送り出した。これまで、入院高齢者の摂食再開時に、現状の誤嚥防止用ゼリーすら誤嚥し、再度肺炎を繰り返し経管栄養になる高齢者に対し、これらのデバイスを用いた段階的摂食再開ストラテジーを開発した。このストラテジーを用いた摂食再開施行群は、非施行群に比べて、肺炎発症を抑制した(Ebihara T et al. JAGS 2010)。また、複数の老人保健施設で行った、黒胡椒(パッチ製剤)を用いた嗅覚刺激による肺炎予防効果をみた研究(RCT)(UMIN000003918)も終了しており(2010年日本老年医学会老年医学研究基金受賞講演(神戸)で一部発表)、現在投稿中。こら一連の研究成果は、Pulm Pharmacol Ther 2010にReviewとして発表した(印刷前 Epub状態)。同様に、J J Pharmacol Socに掲載受託済。又、意欲を司る前帯状回を活性化することが判明している黒胡椒の匂い(JAGS 2006)を用いて、市近郊の3老人保健施設で行った一年間にわたる嗅覚刺激は、偽群に比べて、刺激群は有意に食事量の増加が認められた(低栄養にある患者の食欲不振改善のための薬剤特許出願(公開):WO2007084515)。その際の中枢性の食欲関連ペプチドにも有意な相関が認められ、現在、投稿中である。また、同じテーマを、東北大学小児科と行った施設入所の、食欲低下の障害児に行った研究結果でも、安全に、この嗅覚刺激で、食事量が増え、栄養状態改善・体重増加が認められたEbihara T et al. Tohoku J Med)
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