2010 Fiscal Year Annual Research Report
温熱療法の分子基盤の解明ー熱ショック誘導性新規蛋白質の解析を通して
Project/Area Number |
20590708
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
中島 日出夫 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (00333394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
元雄 良治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80210095)
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Keywords | 癌 / ストレス / 生体分子 |
Research Abstract |
がん温熱療法は化学療法や放射線療法との併用で抗腫瘍効果を増強させることから、補助療法の一つとして位置づけられているが、その分子機構には謎が多い。一方、熱に対する生体の応答は熱ショック蛋白質(HSP)を中心として研究・理解されていて、HSP70やHSP90は癌細胞で発現が上昇し、その発現によって各種治療に抵抗性となる。HSP27の発現は前立腺がんの予後不良のマーカーである。したがってHSPは癌原遺伝子であり、実臨床(温熱療法)と基礎医学(HSP)との間に理論上大きな矛盾が存在する。これを解決すべく白血病細胞に熱ショックを与えてDNAマイクロアレイを行い、新規熱ショック蛋白質(HITSと命名)を発見、その生体での働きを解明することがこの研究の主たる目標である。 ヒト/マウス/ラットに共通なHITSに対する抗体を作製し、組織学的/病理学的検討を行った。HITSは核に局在する蛋白であり、広汎な組織に発現し、消化管組織においては、大腸癌への多段階進展過程(正常粘膜→腺腫→癌)の経過に伴ってHITSの発現量が段階的に低下し、また、胃癌をその主要な組織型別に解析したところ、腸型癌ではHITSの発現量が顕著に低下しているのに対して、びまん型癌では低下していないことが判明した。組織アレイを用いて大規模スクリーニングを行った結果、癌化に伴った田TSの発現低下が、消化管以外に甲状腺・乳腺・肺・子宮頚部・精巣など複数の臓器で見られた。 Tet-ONシステムによる誘導発現系を用いた実験で、癌細胞にHITSをin vitroで強制発現させると増殖因子に対する応答性が低下して細胞増殖の抑制が見られ、また、in vivoでHITSを誘導発現させても腫瘍の増殖抑制効果が確認された。
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Research Products
(5 results)