2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール関連発がんの分子メカニズム解明と予防および早期診断への応用
Project/Area Number |
20590720
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 学 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (40360698)
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Keywords | アルコール関連発癌 / ALDH2 / 予防 / DNAアダクト / 呼気テスト |
Research Abstract |
IARCは、アルコール代謝酵素であるアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の欠損者では、アセトアルデヒドが食道癌の原因に寄与していると結論づけた。しかしながら、なぜ摂取されたアルコールが肝臓で代謝された後に食道・頭頸部の発癌につながるのかはいまだ不明な点が多い。本研究では、1)C13エタノールを経口投与してヒト呼気中のC13アセトアルデヒドの測定を行いALDH2遺伝子多型判別の簡易診断法(アルデヒド呼気テスト)を開発することと、2)アセトアルデヒドの臓器障害を明らかにするために、ALD2欠損マウスを用いて食道を経由しない投与経路(尾静脈または腹腔内)と経口経路でのエタノール投与後の、食道の炎症性変化と食道を含めた各臓器でのDNA損傷の程度をバイオマーカーであるDNAアダクト(N2-ethylidine-dG)を指標として検討することを計画している。 本年度の研究では、われわれが株式会社「化研」と共同開発した酸化チタン光触媒を用いたアルデヒド呼気測定装置を試作し、ボランティアの協力のもと測定条件を検討した。100μlのC13エタノール(99.9%)を50mlの純水で内服し、1,3,5,7分後に呼気バックに呼気を採取してΔ13CO2を赤外分光計で測定した。ALDH2遺伝子型が野生型に対し、欠損型では1,3、5分後に高値を示し1分後の差がもっとも大きかった。したがって、簡易型呼気テストの条件は、C13エタノール(99.9%)100μl+50ml純水を内服後、1分後、3分後で検討しもっとも簡便かつ高感度な方法を開発する。また、アセトアルデヒドによるがん化のメカニズムを明らかにするために、ALD2欠損マウスと食道癌で高頻度に変異しているがん抑制遺伝子p53のダブルノックアウトマウスを作成した。今後このマウスを使用しアルコール投与後の組織学的変化とDNAアダクトの蓄積の違いを検討する予定である。
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Research Products
(4 results)