2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール関連発がんの分子メカニズム解明と予防および早期診断への応用
Project/Area Number |
20590720
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 学 Kyoto University, 医学研究科, 准教授 (40360698)
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Keywords | アルコール関連発癌 / ALDH2 / 予防 / DNAアダクト / 呼気テスト |
Research Abstract |
2009年11月に世界保健機構(WHO)の下部組織であるIARCは、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドを、ヒトにおける食道癌、頭頸部癌の明らかな発癌物質であると認定した。しかしながら、なぜ摂取されたアルコールが肝臓内でアセトアルデヒドの代謝された後に食道・頭頸部の発癌につながるのかはいまだ不明な点が多い。本年度の研究では、1)アセトアルデヒドが蓄積されるALDH2ホモ欠損マウスとアセトアルデヒドが蓄積されにくいALDH2正常マウスに、8週間5%エタノールを自由摂取させ、アセトアルデヒドによるDNA損傷のマーカーの一つであるDNAアダクト:N-ethyledine-dG(グアニン)の食道内の量を測定した。2)また、DNA損傷に対する重要な修復遺伝子であるp53遺伝子欠損マウスを掛け合わせて、ALDH2ホモ欠損/p53ヘテロ欠損マウス[ALDH2(-/-)p53(-/-)]、 ALDH2ホモ欠損/p53ホモ欠損マウス[ALDH2(-/-)p53(+/-)]を作成し、エタノールによるDNAアダクトが増加するかも検討した。 1)エタノールを自由摂取させた場合、ALDH2ホモ欠損マウスではALDH2正常マウスに比較して有意に食道内のN-ethyledine-dGの量が増加した。2)ALDH2(-/-)p53(+/-)マウスとALDH2(-/-)p53(-/-)におけるN-ethyledine-dG量は、ALDH2ホモ欠損/p53正常マウスに比較してやや増加したが有意差はなかった。このことより、アセトアルデヒド暴露によるDNAの損傷は、DNA修復遺伝子であるp53遺伝子の状態には左右されないことがあきらかになった。
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Research Products
(10 results)