Research Abstract |
【目的】ペプチドリガンドのモチリンおよび非ペプチドリガンドのエリスロマイシンはモチリン受容体に結合し,消化管運動機能調節に重要な役割を果たしている。申請者は,モチリンはモチリン受容体のperimembranousなアミノ酸残基に結合すること,エリスロマイシンはこれらのアミノ酸残基とは異なる部位に結合すること,モチリンとエリスロマイシンのモチリン受容体細胞内シグナル伝達系は共通であることを報告してきた。今回,エリスロマイシンの結合部位の同定のため,モチリン受容体の膜貫通部の変異受容体を作成し解析した。またモチリン受容体の機能解析のため,ヒトモチリン受容体トランスジェニックマウスの作成を試みた。【方法】(1)モチリン受容体の第一から第七までの膜貫通部の個々のアミノ酸残基をAlaに置換した変異受容体を作成し,COS細胞に一過性に発現させ,モチリンあるいはエリスロマイシン刺激による細胞内カルシウム濃度変化をFURA-2-AM系で,またモチリン,エリスロマイシンの結合能を競合的結合反応で,測定した。(2)ヒトモチリン受容体cDNAを組み込んだCAG promoterを有するplasmidを作成し,マイクロインジェクション法にてトランスジーンを行い,トランスジェニックマウスを作成した。【結果】(1)モチリン受容体第2膜貫通部のAsp94,Leu95,Try99,第4膜貫通部のSer169,第6膜貫通部のGlu325の変異受容体にて,エリスロマイシン特異的な受容体活性化がみられなかった。(2)ヒトモチリン受容体トランスジェニックマウスの作成に成功した。【結論】エリスロマイシンはモチリン受容体の膜貫通部に結合し,作用発現されることを証明した。今後,モチリン受容体とGHS受容体のキメラ受容体を作成し,両者のクロストーク機構の解析とともに,ヒトモチリン受容体トランスジェニックマウスを用いた,in vivoでのモチリン受容体機能解析を行う予定である。
|