2009 Fiscal Year Annual Research Report
摂食行動に関連する中枢神経系の小腸粘膜のアポトーシス・増殖に及ぼす影響
Project/Area Number |
20590728
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤本 一眞 Saga University, 医学部, 教授 (50181392)
|
Keywords | 中枢神経 / 小腸 / 粘膜 / 増殖機構 / アポトーシス / 消化吸収 / 代謝調節 / 視床下部 |
Research Abstract |
中枢神経系と小腸は生体の代謝調節に重要な臓器である.両者の関連については,消化管運動,内分泌機能,外分泌機能等で研究がすすんでいる.小腸は他臓器と比較してターンオーバーの速い臓器であり,増殖能は高くアポトーシスが容易に誘導される.他施設の研究の多くが小腸の増殖機構のみに焦点をあてていたが、我々は小腸粘膜の増殖機構に加えてアポトーシスの発現機序について解明してきた.小腸のアポトーシスの研究自体が独創的であるが,さらにアポトーシスの発現の機構と病態生理学的意義に注目して研究をすすめているグループは少ないのが現状である.今回は小腸粘膜のアポトーシスの発現機序に対する中枢神経系の関与を解明することで、小腸の最も重要な機能である消化吸収に中枢神経系がどのような影響を与えるかに焦点あてた.その結果、小腸粘膜の形態維持に視床下部諸核を中心とする中枢神経系が深く関与していることが判明した.即ち、小腸粘膜アポトーシスの実行機序については、i)小腸粘膜障害時はミトコンドリアを介して粘膜アポトーシスが実行される、ii)小腸粘膜のアポトーシス実行機序に中枢神経系の関与し、中枢経由を介した生理的条件下ではミトコンドリアを介さない実行経路によりアポトーシスが発現する.平成21年度までの研究で、特に小腸アポトーシス実行機序におよぼす中枢神経系の関与を解明することでできたことで、"代謝調節を中枢神経系と小腸機能の両面から検討"という画期的な観点からアプローチする実験系を構築できた.
|