2009 Fiscal Year Annual Research Report
胃ホルモン・グレリン概日リズムと戦略的治療法の探索
Project/Area Number |
20590729
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大津留 晶 Nagasaki University, 病院, 准教授 (00233198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 辰樹 長崎大学, 病院, 助教 (80346949)
熊谷 敦史 長崎大学, 病院, 助教 (40448494)
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Keywords | グレリン / レプチン感受性 / 脂肪酸 / 血糖 / インスリン感受性 / 概日リズム |
Research Abstract |
近年、光同調性概日リズムの分子機構が急速に解明され、明暗刺激に同調する25時間周期の体内時計による様々なホルモン分泌や遺伝子発現・蛋白のリン酸化の概日リズムの存在が明らかとなった。一方、新規胃ホルモン・グレリンは1日4峰性ピークのリズムを持ち、このグレリン概日リズムは、明暗刺激に基づく従来の概日リズムとは全く別の制御メカニズムによると推測される。そこでまずグレリンの日内変動が、単に食事摂取カロリーや血糖などの代謝要因にのみで規定されるのか、それとも食習慣にもとづく何らかの概日リズムに左右されているかを明らかにする研究を施行した。健康な22~34歳の成人14名(男性8名、女性6名)を対象とし、14日間食事カロリーの制限はないが、朝(8時)・昼(12時)・夕(18時)に3食決められた食事を摂り、1日目、14日目に、前腕静脈の留置針より7時~20時まで1時間間隔の採血を行い、グレリン、インスリン、レプチン、血糖等を測定し、解析を行った。グレリン日内変動を1日目と14日目で比較すると、1日目は日内変動の個人差が大きいのに対し、14日目は個人差が少なくなり、またグレリンの3峰性のピークもほぼ全員8時12時18時にそろっていた。これらの結果により、グレリンは摂食時に変動する代謝因子以外の、別の調整因子、即ち食習慣によって規定される新たな概日リズムによって制御されていることを示唆するものと考えられた。また加えて食事同調性概日リズム回復によるβ酸化代謝経路の活性化とレプチン感受性の上昇を、ヒトにおいて初めて証明した。糖尿病などが発症していないレベルのメタボリックシンドローム患者において、厳しいカロリー制限を設けない規則的食事を中心とした食事療法の治療効果の可能性が示され、現在論文投稿準備中である。
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Research Products
(3 results)