2009 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患における骨髄IL-7による病原性メモリーT細胞維持機構の解明
Project/Area Number |
20590736
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
根本 泰宏 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 特任助教 (20456213)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / IL-7 / メモリーT細胞 / 骨髄 / 腸内細菌 / 無菌マウス / 間葉系幹細胞 / CD4+T細胞 |
Research Abstract |
本研究は炎症性腸疾患難治性・永続性の要因である疾患フェノタイプを記憶した"腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞"の維持機構を解明し、疾患記憶を"リセット"する究極の炎症性腸疾患根治療法の開発することを目標とする。本期間において以下の事を明らかにした。1)腸内細菌抗原は腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞がエフェクター細胞へと分化し、腸炎を発症するためには必須の因子であるが、メモリーT細胞の維持においては必須ではなく、骨髄IL-7は腸内細菌抗原非依存的に腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞を維持する事を、無菌マウスシステムおよび抗IL-7受容体抗体を用いたIL-7/IL-7受容体シグナルの中和実験によって証明した。2)腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞は免疫不全マウスや腸炎マウスのみではなく、正常マウス骨髄においても腸内細菌非依存的に維持されることを、Ly5.1/Ly5.2コンジェニックマウスおよびCFSEラベルを用いた腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞の正常マウスへの移入実験によって証明した。3)腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞の維持機構において、骨髄細胞の中でもさらにIL-7産生性骨髄間葉系幹細胞の存在が重要であることを、骨髄間葉系幹細胞培養系と、フローサイトメトリー、RT-PCR法、蛍光免疫染色法によるIL-7産生細胞の検出法を確立し、IL-7産生骨髄間葉系幹細胞と腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞の供培養システムを用いて証明した。以上の研究結果から腸炎惹起性メモリーT細胞の維持機構においては、腸内細菌抗原刺激は必須ではなく、骨髄に存在するIL-7産生性間葉系幹細胞が重要な役割を有することが示された。本知見は今後骨髄IL-7をターゲットとした治療法の開発において非常に重要な進歩である。
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