2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化管悪性リンパ腫における遺伝子異常と臨床病理学的因子に関する研究
Project/Area Number |
20590744
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 昌太郎 Kyushu University, 大学病院, 助教 (10243932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 三雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00127961)
松本 主之 九州大学, 大学病院, 助教 (10278955)
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Keywords | 消化管リンパ腫 / 濾胞性リンパ腫 / MALTリンパ腫 / FISH / 染色体転座 / トリソミー / BCL2 / MALT1 |
Research Abstract |
【研究の目的】消化管悪性リンパ腫における遺伝子学的異常の有無をfluorescence in situ hybridization(FISH)により検索し、免疫組織化学染色および臨床病理学的因子との関連を組織型別に検討する。 【方法と結果】本年度は、新たに診断された症例を主体として、消化管悪性リンパ腫49例(濾胞性リンパ腫38例、MALTリンパ腫ll例)における染色体転座およびコピー数の異常の有無をFISH法で検索した。事前に免疫染色がなされていない症例に対しては、CD10およびBCL2蛋白の免疫染色を行い、リンパ腫の組織型を確認した。FISHの結果、濾胞性リンパ腫では38例中29例(76%)にt(14;18)(q32;q21)/IGH-BCL2が検出された。MALTリンパ腫では、11例中3例(27%)にt(11;18)(q21;q21)/API12-MALT1を認め、5例(45%)にMALT1遺伝子の過剰コピー(完全または部分的トリソミー18が示唆)が検出された。 【考察および次年度の計画】FISH法による濾胞性リンパ腫におけるt(14;18)(q32;q21)/IGH-BCL2の頻度は、リンパ節に発生する例では約90%と報告されている。今回の消化管濾胞性リンパ腫における頻度(76%)は、リンパ節発生例より低く、臓器特異性の可能性が考えられる。今後は、さらに症例数を増やして、消化管の臓器別、臨床病期、治療反応性と予後などの臨床病理学的特徴との関連を検討する。一方、MALTリンパ腫におけるt(11;18)(q21;q21)API2-MALT1およびMALT1過剰コピーの頻度(27%および45%)は既報と同様であるが、症例数が少ないので、今後さらに検討を重ね、報告の少ない腸管例における頻度と臨床像との関連について解析したい。 以上の結果の一部は、平成21年5月の第95回日本消化器病学会総会(札幌)で発表する予定である。
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