2010 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎合併大腸癌に対するp53抗体を用いた新しいサーベイランス法の確立
Project/Area Number |
20590748
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩男 泰 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40168547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / サーベイランス / ELISA / p53 / dysplasia / 内神鏡 / 早期発見 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis,UC)は長期間経過するとともに大腸癌の合併が高くなり、散発性の大腸癌とは異なる臨床病理学的な特徴を有することが知られている。癌化例の早期発見のためにはサーベイランス内視鏡が必須であるが、高危険群とされるサーベイランス対象症例数は年々増加しており、その絞り込みが可能となるマーカーが切望されている。UCに合併する大腸癌は散発性大腸癌に比べて比較的早期に、すなわちdysplasiaの段階でp53遺伝子の異常が関与するといった特徴を持つ。我々は、より効率的なサーベイランスシステムの構築のために高危険群の絞り込みなどが可能となるマーカーを開発することを目的として、最近その臨床的有用性が各種の癌で報告されている血清抗p53抗体に着目し、UC患者および大腸癌合併UC患者の血清抗p53抗体をELISA法により測定し、種々の臨床的因子との関連性について検討し、さらには精度の高いサーベイランス法の確立を目指した。 まず最初にコントロールとして健常人において検討したところ、63例中1例(1.6%)のみが血清抗p53抗体陽性であった。一般の散発性大腸癌では82例中43例(52.4%)が陽性であった。286例の潰瘍性大腸炎患者群では43例(15.0%)が陽性で、陽性率では健常人に比し有意に高く、dysplasiaやcolitic cancer例を除いた評価でも有意に陽性率は高かった。さらに、colitic cancer群8例中6例(75.0%)、dysplasia群5例中2例(40.0%)が抗p53抗体陽性であり、colitic cancer群における抗p53抗体陽性率はそれ以外の潰瘍性大腸炎患者群の陽性率とくらべ有意に高かった。また抗体価においても同様に有意な上昇を認めた。現在、これらのp53遺伝子変異部位の解析を進めている。狙撃生検を用いたサーベイランス法がランダム生検による従来のサーベイランス法と遜色のない癌・dysplasia検出率を示すこととあわせ、UC合併大腸癌の早期発見における抗p53抗体の有用性、および効率的なサーベイランス法への有用性が示唆された。
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Research Products
(3 results)